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「愛らしいかわいい好きな映画ができたなと思った」

―― でも、それまでと全然違う幻想的なイメージで昇華されていく感じがしました。それまでになかったようなタイプの映画ができたんじゃないかと思うんですけど、手ごたえはあったんじゃないですか。

塚本 僕は愛らしいかわいい好きな映画ができたなと思ったんですけどね。もちろんいっぱい反省点はあるんですけど。

―― ジュブナイルでもあり、ハードボイルドなところもあり、他にないタイプのようだなと思って。

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塚本 最近デジタル化して発表した時、今はSNSの時代なので、当時から喜んでくださった人たちの感想がたくさん聞けたんです。とても嬉しかったです。当時はそういうのを聞けなかったものですから、「『鉄男』の監督にしてはずいぶん変わったのを作っちゃったね」とか、どっちかというとがっかり意見のほうが多かったので、自分としては「やってしまったかな」という気もなくはなかったです。

『ヒルコ 妖怪ハンター』 ©️MAKOTOYA/KAIJYU THEATER

 『ヒルコ』以後の製作体制

―― 『ヒルコ』の次に『鉄男II BODY HAMMER』を撮るんですね。

塚本 はい。『鉄男II』は完全にまた自主映画のかたちに戻って、やはり1年ぐらいかけて美術を作っては撮影というようなやり方で。美術はこれ以上できないぐらい凝って作っていった映画になります。

―― しばらく後ですが、『双生児-GEMINI-』(1999)は商業映画体制に近かったんですか?

塚本 『ヒルコ』以降、完全に商業映画体制に戻ることは今のところなくて、基本のスタッフは自分たちで、そこにキャストとか、特別なスタッフをお招きするというかたちですね。だから、『双生児』の時はメインのスタッフに素晴らしい方々をお招きして、海獣シアター(注3)のスタッフと一緒にやる共同作業という感じです。衣装の北村道子さんとか、特殊能力みたいな方々を呼んで。本当にビックリするような短い撮影だったので、自分が長いことかけて作るという方法じゃなくて、特殊才能の人と、一瞬の摩擦とスパークする火花を散らすような、ほぼ戦いといってもいいような感じの現場でやっていく感じでした。