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この時点でまず、こども医療センターの危機管理体制の不十分さと機構本部の統治能力の欠如が問題視されるべきだった。しかし、社会全体が衛生用品の不足に悩まされていた時期と重なったので、県からは見過ごされてしまった。

保健所に報告すべきところ、院内で“隠蔽”

2020年8月、こども医療センターで、業者の定期検査によりレジオネラ菌が検出された。レジオネラ菌が検出された場合、直ちに保健所に報告することが求められているのだが、病院内部の会議で届け出もせず事実を隠蔽することが決定された。なんという不誠実な態度だろう。

その結果、翌2021年2月にレジオネラ肺炎が発生し、生後6カ月の幼児が呼吸障害で生死の境をさまよう事態に陥った。この時はさすがに保健所に届け出たが、機構本部に詳細を報告せず、県議会にも報告しなかった。

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こども医療センター内だけで解決しようと、看護師や職員が招集され、水道管に熱湯を流し入れるレジオネラ菌対策が指示され、看護師たちが手指に熱傷を負うことになった。あまりに幼稚な対応が行われていることを把握した私は、当時の機構理事長に直接連絡をした。

詳細を全く知らなかった理事長は、早速こども医療センターに乗り込み、ハード対策に熱心に取り組み始めた。しかし、ソフト対策は後回しにされた。

つまり、こういう状況を引き起こした当時のこども医療センター総長・病院長をはじめとする幹部たちの責任は何ら問わず、建物の老朽化や建て増ししたための複雑な給湯経路などを原因にあげつらい、給湯設備の改修に予算を捻出しただけだったのだ。

組織改革に手つかずのまま、医療事故が…

そして、レジオネラ対策を開始したばかりのころ、今度はCRE保菌患者が見つかり、一時は16人も保菌者が確認された。

CREは薬剤に耐性が強いため、感染症を引き起こすと治療が困難になる可能性が高い。こども医療センターに入院しているのは基礎疾患を持つ子供ばかりであり、CRE保菌は命取りになりかねない。大腸菌の一種なので、ひどい衛生環境により伝播する可能性が高い。