生まれつき目や皮膚、毛髪の色素が不足している遺伝子疾患の「アルビノ」。2万人に1人の確率で発症するといわれ、国の指定難病になっている。

 現在、インフルエンサーとして活動しているりり香さん(23)もアルビノ当事者のひとり。アルビノの症状によって日焼けへの抵抗力が低く、視覚障害も抱えている。彼女はいったいどんな症状を持ち、どうやって日常生活を送っているのか。病気に対する偏見をどのように受け止めているのか、話を聞いた。(全2回の2回目/1回目から続く)

インフルエンサーとして活動するアルビノ当事者のりり香さん ©細田忠/文藝春秋

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2年前に医師から「いずれ目が見えなくなる」と…

――2年前に緑内障と診断され、医師から「いずれ目が見えなくなる」と言われたそうですね。

りり香さん(以下、りり香) 一般的な緑内障なら、初期段階で手術すれば改善できるそうです。でも、私の場合は病気の特性上、現時点では手術自体ができないらしくて。このままだと、5年から10年ほどで失明するだろう、と言われました。

 でも、「視力が失われたら、今よりちょっと大変になるな」とは思ったけど、不思議とショックは少なかったんですよね。

――それはなぜですか?

りり香 中高時代を特別支援学校で過ごした経験があるから、ですかね。支援学校には、私よりも視力が弱い人や、まったく見えない人がたくさんいました。

 目が見えない人は、見える人よりも大変なことが多いのは事実です。でも、「目が見えないから不幸だ」と言っている人はいませんでした。それぞれ、自分の人生を楽しんでいる人ばかりでしたね。

 

視覚以外の感覚が鋭くなる人が多い

――例えば、どんなことをして自分の人生を楽しんでいたのでしょう。

りり香 音楽が好きな人は多かったです。聴くのはもちろん、楽器を演奏したり、作曲したりする人もいました。

 目に障害を持っている人は、視覚以外の感覚が鋭くなる人が多いように思います。だから、音に没頭できる音楽が好きな人が多いのかなって。私自身、学生の頃は一度聞いた曲をすぐにピアノで弾くことができました。

――もともとピアノを習っていた?

りり香 ピアノ教室に通ったことはないです。でも、小さい頃から自宅でよくピアノの曲が流れていたので、自然と耳が鍛えられたのかもしれません。保育園に通っていたときは、先生が弾いているピアノを聞いて、真似して即興で弾きだしたこともあるそうです。