2人の初共演は『学校のカイダン』(2015年/日本テレビ系)。神木は主人公のフィクサー兼スピーチライターを演じ、杉咲はスクールカーストトップの「プラチナ8」に属する女子高生を演じた。どちらかといえば虐げられる側の役が多い杉咲が、珍しくいじめっ子役を熱演していた。
2017年に公開されたアニメーション映画『メアリと魔女の花』では主人公の少女・メアリの声を杉咲が、彼女のバディとなって脱出劇を繰り広げる少年・ピーターの声を神木が担当している。出演から7年が経ったが、両者共に今でも少年少女を余裕で演じられそうだ。同時に、老男老女の役も別作品でこなしている。いい役者とは、役の上で年齢不詳なのである。
また同年放送され、神木が浅野忠信とW主演でバディを演じた『刑事ゆがみ』(フジテレビ系)の第1話に杉咲がゲスト出演している。神木は、浅野忠信演じる中年刑事に振り回される堅物の若手刑事を演じ、杉咲はその同級生で事件の鍵を握る駅員を演じた。
恋人でも、幼なじみでも、バディでも、親族でもしっくりくる神木と杉咲
大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』(2019年/NHK総合)では神木が若手落語家・五りんを演じ、五りんの母と祖母の一人二役を杉咲が演じている。そういえば『いだてん』でも『海に眠るダイヤモンド』でも、神木隆之介が演じる男が自らのルーツを探っている。神木と杉咲は恋人でも、幼なじみでも、バディでも、親族でもしっくりくるから不思議だ。
2021年公開の三池崇史監督作品『妖怪大戦争 ガーディアンズ』では寺田心演じる主人公を導く謎の剣士を杉咲が、主人公の担任教師を神木が演じた。ちなみに神木は前作『妖怪大戦争』(2005年)で主人公を演じている。
2023年に公開された映画『大名倒産』では、庶民から大名にジャンプアップした小四郎を神木が、小四郎の幼なじみを杉咲が演じている。この作品も『海に眠るダイヤモンド』同様、幼なじみから恋仲に発展する2人の変化が見ものだ。
また、両者共に朝ドラの主演経験があるというところも押さえておきたいポイントだ。神木は『らんまん』(2023年度前期)で牧野富太郎をモデルとする植物博士・槙野万太郎を、杉咲は『おちょやん』(2020年度後期)で女優・浪花千栄子をモデルにした竹井千代を演じた。
『海に眠るダイヤモンド』はしばしば「大河ドラマっぽい」とか「朝ドラっぽい」などと形容されるが、神木と杉咲が共に名作朝ドラの主演を張るスケールの役者であることが作用していると言える。