子どもを性の対象にする背景には、脳の形状が影響している可能性もあります。そのため、そこにアプローチする小児性愛者の“治療”は今後ありうるかもしれません。しかし、それが可能になるのはまだかなり先のことで、いまのところは嗜好自体を変えられないと考えたほうがよいです。ただ、嗜好をもつことと、それを実行に移すことは違います。嗜好に悩んでいようがいまいが、加害行為は加害行為なのです。
見た目が怪しい人にばかり気をつけても意味がない
どんな性的嗜好であれ、それは見た目にはあらわれません。また、たとえペドフィリアと診断された人の脳に何かしらの問題や人との違いがあっても、それも外見からは判別できません。そういった意味でも、子どもを性被害から守ろうとするとき、いかにもあやしく見える人に気をつけるばかりでは、対策にはならないことがわかります。加害者も、特徴的な外見は親にも子どもにも警戒されるだけだと自覚しているのです。
気にすべきは見た目でなく、「加害者はどんな行動をするか」です。アメリカの児童保護サービス機関が把握した、児童虐待とネグレクトに関する全国データについての報告によると、小児性被害のうち81%が、子どもと加害者が1対1になったときに起きていました(*1)。
*1:「child maltreatment 2013」the Children’s Breau, Child Maternal Report 2013.(2024年10月7日最終閲覧)
加害を目論んでいるのであれば、そのシチュエーションを自分でつくる必要があります。そこで加害者は、子どもに近づいてもあやしまれにくい状況を利用します。それどころか、子どもに好かれ、子どものほうから近づいてくる状況をつくることもあるくらいです。これは加害者にある程度、共通して見られる行動のひとつです。
子どもを小児性暴力から守るためには、こうした行動パターンを知り、そのアプローチを阻む必要があります。