「本音を言うと都民共済のほうが助かるし、こちらは何とかして払おうと思う。なんでかって? 自分が契約するコースでは、死んだ時に500万円が出るから。病院には行かないから病気になった時の手当は不要なんだけど、死んだ時に500万円が出るなら後始末をするのに人にあまり迷惑をかけなくて済むでしょ。しかも保険を使わなければ、毎年割戻金もある。それに比べて国保の保険証をもっていても、この保険証をもつための保険料で生活が苦しくなるし、病院で一部負担するお金も支払えないから意味がない。入院もとんでもない。体調が悪くなっても、自力で何とかする」
「日本の皆保険制度はすごい」とは言うけれど…
私も都民共済ではないが、自分が「死んだ時の後始末代」を考えて死亡保険金が高い保険に加入し、受け取り人を子どもにし、どのように使ってほしいかも伝えている。こちらの民間の保険のほうが支払う上で納得感がある。ちなみに国保の被保険者が死亡した際、葬祭の給付はあるものの一般的に数万円から10万円程度である。やはり頼りにはならない。
「それでも日本の皆保険制度はすごいですよ」
と、前出・税理士の服部修氏は言う。
「全員が公的医療保険に加入し、等しく治療を受けられるんですから。以前テレビで見聞きしたのですが、アメリカでコロナにかかって入院し、エクモを使用しなければならず、トータルで1億円かかったそうです。その人は充実した給付サービスの保険に加入していたから、その医療を受けることができたのです。アメリカでは保険内容によって治療が限られます。でも日本ではお金の問題でエクモを使うかどうか悩むことはないでしょう。大病して治療費が高くなっても、高額療養費があるから大抵は破産するほどにはなりません。皆保険体制でなければ、歯が痛くてちょっと歯医者にかかるだけでも、数万円かかってしまうのです」
それはわかる。わかるのだが、万が一の際にどんなに等しく治療を受けられることを考えても、今生活を圧迫するほど国保料が高い。B氏のように国保料を支払っているがために病院に行けないのでは意味がないではないか。