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「1人でいるよりも野球以外を考える時間が多くなった。それがいい方向に、グラウンドにいる時に逆に集中できるようになったのかなとは思うので、そこはもちろん感謝したいと思います」

リアル二刀流として3度目のスタート

 迎えるメジャー8年目の’25年は、リアル二刀流として3度目のスタートとなる。過去2度の手術を経たこともあり、もし今後、大きな故障に見舞われた場合、二刀流との訣別を含め、重大な岐路に立たされる可能性は捨てきれない。打者に専念した’24年はWSまでフル稼働したものの、今後は登板日前後のプレー機会を考慮するなど、リカバリーを最優先する傾向が強まるに違いない。ドジャースとしても2033年まで契約が残っており、何より大谷のキャリア全般を考慮した緊密なコミュニケーションと球団としての管理体制も問われることになろう。

 ’25年は今永昇太、鈴木誠也を擁するカブス相手に日本での公式開幕戦が予定されている。大谷のリハビリが順調であれば凱旋試合で開幕投手への期待も高い。

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「そのぐらいのクオリティーでキャンプを迎えて、そのぐらいの信頼感で送り出してもらえるのが、自分にとっても自信になるんじゃないかと思います」

 投手として20勝&サイ・ヤング賞、打者として50本&本塁打王の同時達成など、周囲の期待はどこまでも膨らんでいく。確かにこれまでの常識では考えられない領域に違いない。だが、そんな常識を大谷はことごとく覆してきた。年齢的に30歳台に入り、選手として脂が乗りきった大谷が、次はどんなパフォーマンスで世界を驚かせるのか。熱狂的なファン以上に、大谷自身が自分へ期待しているような気がしてならない。

◆このコラムは、政治、経済からスポーツや芸能まで、世の中の事象を幅広く網羅した『文藝春秋オピニオン 2025年の論点100』に掲載されています。