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『よむよむかたる』(文藝春秋)
第172回直木賞候補作(2024年)。
小樽の古民家カフェ「喫茶シトロン」には今日も老人たちが集まる。
月に一度の読書会〈坂の途中で本を読む会〉は今年で20年目を迎える。
最年長92歳、最年少78歳、平均年齢85歳の超高齢読書サークル。
それぞれに人の話を聞かないから予定は決まらないし、連絡は一度だけで伝わることもない。
持病の一つや二つは当たり前で、毎月集まれていることが奇跡的でもある。
なぜ老人たちは読書会を目指すのか。
読みが語りを生み、語りが人生を照らし出す。
幸福な時間が溢れだす、傑作読書会小説。
この物語は、朝倉さんが編集者とお母様について話したことが執筆のきっかけ。お母様が20年くらい読書会に参加しているという話をしていると、「読書会の話を書いていただけませんか?」と言われ、『よむよむかたる』を書くことになったそう。
「老人たちの読書会って、こういうやりとりをしながら進んでいくんだ!」という新鮮な驚きと、そのワンダー感を伝えたいという思いがあったと朝倉さん。
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ほかにも、盗作で芥川賞を獲りに行く2人の女子高生の物語である『てらさふ』など、朝倉かすみさんの注目の著書は数えきれない。
ぜひお気に入りの一冊を探してみては。