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そして、この死亡者数の2~3倍程度の方々が救急搬送されて命を取り留めても、半身不随や車椅子生活等になってしまい、健康寿命を縮めてしまっていると言われています。

ヒートショックはむしろ温暖な地域で起こりやすい

消費者庁は、毎年のように入浴中の事故に対する注意喚起の情報発信を行っていますが、2020年のニュースリリースでは、安全に入浴するための確認事項として、次の5つを挙げています。

(1)入浴前に脱衣所や浴室を暖めましょう。
(2)湯温は41度以下、湯につかる時間は10分までを目安にしましょう。
(3)浴槽から急に立ち上がらないようにしましょう。
(4)食後すぐの入浴や、飲酒後、医薬品服用後の入浴は避けましょう。
(5)入浴する前に同居者に一声掛けて、意識してもらいましょう。

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これらの対策は、費用もさほどかからず、手軽にできる対策なので、ぜひ実行していただきたいと思います。

ところで、「ヒートショック」は寒い地域の話と誤解している方が多いようです。それはまったく違います。実はむしろ、温暖な地域のリスクのほうが高いのです。図表3は、都道府県別の冬の死亡率の増加率(4月から11月の月平均死亡者数に対する12月から3月の月平均死亡者数の増加割合:%)です。

そして日本の都道府県別では、1位、2位が栃木県、茨城県と、北関東の県が上位にありますが、むしろ注目していただきたいのは、4・5・6・7位に愛媛県、三重県、鹿児島県、静岡県といった温暖な地域の県が名を連ねていることです。

そして逆に、冬季死亡増加率が低いのは、北海道、青森県です。

冬季死亡率がこんなに高い先進国は日本ぐらい

なぜ、比較的温暖な地域の冬季死亡増加率がこんなに高く、北海道や青森県では低いのでしょうか?

それは、高断熱住宅の普及率と密接な関係があると言われています。図表4の左側の日本地図は、都道府県別の高断熱住宅の普及率によって色分けしたものです。そして右側は、冬季死亡増加率を都道府県別に色分けしたものです。