「仕事」という言い訳ができたことで、単純に努力して働いて稼いでいる人になり、普通の人間になれたと嬉しかったんです。「ビジネス」が隠れ蓑になり、自分の行為が評価されると感じるようになれました。
「赤ちゃんいるのにこんなとこ来るんだ」風俗店に来るお客様の話が好きだった
私が聞いていて好きだったのは社会的に地位がある人の自慢話でした。だいたい風俗店に来て話す自慢話って自分がこういう仕事したとかじゃなくて、「部下がほんとにダメでよお」みたいな悪口です。あるいは学校の先生が生徒の文句をひたすら言うとか。ただ、そういうドロッとした内面を引き出せれば、もうこっちの勝ちです。リピーターになってくれます。
その一方で、その学校の先生が盗撮なんかしてたりするわけです。生徒がなっとらんみたいなことをいつも言っているのに、自分はどうなんだ、と。そういう大人の心の裏表に接するのがとても新鮮でした。
携帯電話の待ち受けに赤ちゃんの写真を使っているお客様にも最初は衝撃を受けました。まだ私も大学生でしたから、「赤ちゃんいるのにこんなとこ来るんだ」とびっくりしたりしたんです。人間って欲張りというか、いっぱい求めるんだな、と。そういう道徳に背いてる、聖書の教えに反するようなことをするお客様の話は私の大好物でした。
なかには「いま総額300万円くらいの借金あって明日5万円返さなきゃいけないのに会いにきちゃった」っていう、あまりうまく働けてないような人もいて、そういうお客様には私が興味津々になってしまって「なになに? いつからそんな状況になっちゃったの?」って食いついたりして。私は挫折というのか、傷を負った人生を歩んでいる人が好きでしたから。
18~19歳の男の人は「主人公意識」が強い
やはり逆ナンだと若めのサラリーマン相手が多いですし、狙っていたのが「草食系」だったので、ピロートークで聞ける話もそこまで深くはありませんでした。逆ナンで社会的な地位のある人に出会うことはまずありません。そういう人は繁華街を隙を見せつつトボトボ歩いてたりしないですし、深夜のスーパーでアイスを物色したりもしないでしょうしね。
あとは、幅が広がったといっても私は年下には興味がなかったので、そこは「答え合わせ」の面からは捨てていました。18~19歳の男の人もお店には来ましたが、私が期待するドロッとした二面性のある話は到底聞けなかったですから。
そういう若い男の子は「主人公意識」が強くて、「俺が俺が」な感じで主張して、弱みを見せることはほぼないんですね。「このあと二人で飲みに行こうよ」と誘ってきたりもするし、良くいえばカジュアルな感じで接してくるので、リピーターにはなりそうもないし、私は関心がなかったです。
ともあれ、デリヘルというスキームにある程度守られながら、私はどんどん「答え合わせ」の幅を増やしていきました。
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