新興宗教家庭で育った宗教2世のまりてんさん。入信を拒んだ彼女は家庭での居場所を失い、孤独を感じながら成長していく。大学生になると、不特定多数の男性と性的な関係を持ち、大学4年の冬から風俗店で働き始める。

 彼女は、どのような孤独感を抱えながら学生生活を送っていたのか。なぜ風俗店で働くようになったのか。ここでは、まりてんさんの著書『聖と性 私のほんとうの話』(講談社)より一部を抜粋して紹介する。(全2回の1回目/2回目に続く)

新興宗教家庭で育ったまりてんさん(写真=『聖と性 私のほんとうの話』より/講談社提供)

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家族のなかで自分は異端者で、居場所もなかった

 一人暮らしをはじめて、1年生の秋くらいからサークルの飲み会なんかに参加するようになりました。学内のスポーツサークルをはじめ、近隣大学との合同サークルの飲み会にも顔を出すようになりました。そこで少しずつ、持ち帰ったり、持ち帰られたり、私の男性遊びがはじまります。

 高校時代から付き合っていた彼氏とは、ちょうど一人暮らしをはじめたくらいに別れました。それまでは浮気もすることなく純粋なお付き合いを続けていたのですが、向こうは名古屋の大学に進んで、物理的に会う時間をつくりづらくなり、お互い納得というか、「もう無理じゃない?」「たしかに」みたいな感じで消滅しました。

 この彼氏は、からっぽな自分を救ってくれたはじめての存在でした。家族のなかで自分は異端者でしたから、居場所もなかった。母親は聖書の価値観のなかでしか私を認識しようとしなかったので、幼少期はだれからも見てもらえていない気がしていました。

安心感を得るための手段として性行為を繰り返し…

 自分の信念やなにかに対する執着もなく、地に足がついていない「からっぽ」の状態が長く続いていたのをこの彼氏のおかげでまぎらわすことができていました。私は彼に依存していました。

 いま思えば、セックスをしている時間だけはほかのだれかにちゃんと見てもらえている気がしていました。その時間だけは、相手の男性が自分をまっすぐに見て、反応をくれる。その瞬間だけは自分以外の他者である相手の人生の一部になれた気がして、安心感を得て、心の平穏を保つことができたのです。

 だから彼氏と別れて、セックスがない日々が続くと孤独感を強めていき、安心感を得るための手段としてセックスを繰り返す「遊び人」となっていったのです。

 その後、2年生になり、お酒も普通に飲むようになってから、私の男性遊びは加速しました。学内の後輩の男の子に手を出したら、その子には同期の彼女がいて、私が学内を歩くとザワザワ……となる、みたいなことを数多くやらかしました。