悔しくて、真っ昼間一人で泣きながら…
――テクニックはもちろん、何よりも筋力が重要な競技だと思うのですが、もともと力に自信があったんでしょうか?
野村 うーん……握力には多少。当時、体力測定で計測して45~46kgだったので、女子の中では強い方なのかなと。でも、パワーリフティングを始めてみたら、自分の力は大したことないと思い知らされましたね。いまの記録の半分の重量も上げられなかったですし、成績もなかなか伸びなくて。
その頃、他校にライバルがいて、私よりも階級は一つ下(57kg級)だったんですけど、最初からすごい成績を残していて、稽古先でも彼女ばかりが注目されていたんです。そういう状況がすごい悔しくて、帰り道に、真っ昼間一人で最寄りのバス停から泣きながら家まで歩いていたりしていましたね。
パワーリフティングは成長がわかりやすく目に見える競技
――それでもパワーリフティングを続けられたのはなぜなのでしょうか?
野村 先ほどの不純な動機もありますが、何より、パワーリフティングは重いものを持ち上げるというシンプルな競技なので、自分の成長がわかりやすく目に見えるんですよね。頑張れば頑張ったぶんだけ、数字に表れますし、それがモチベーションにつながるというか。
練習でどれだけしんどいことがあっても、試合で自己ベスト記録を更新したときは、それ以上の喜びってないんですよ。「この瞬間のために生きている!」と痛感します。
――では、これまで、高校、大学、社会人と競技を続けてきたなかで一番喜びを感じた瞬間はどんなときだったのでしょうか?
野村 大学1年生のときに、サブジュニアというカテゴリで63kg級の世界チャンピオンになれたときですかね。
表彰台の一番上から見る景色はとても特別でしたし、高校2年生の頃からお世話になっていた先生もその場にいて、そこで国歌を流せたのは、何かしらの恩返しになっているんじゃないかなと。当時を思い出すと、いまでもグッときますね。
――高校生から競技を始めて、大学生の頃に世界一に輝かれた。凄まじいキャリアだと思います。現在はパワーリフティング一本で生活されているのでしょうか。

