「選手として生計を立てている人というのはまずいない」

野村 いえ、農業関係の会社で社会人をしながら、パワーリフティングを続けている状況です。

――国内トップクラスの選手である野村さんでも、仕事をしながらでなければ競技を続けられないのですね。日本にパワーリフティングだけで生計を立てている選手はいるのでしょうか。

 

野村 ジムのトレーナーや経営者をしながらという方はいますが、例えばスポンサー支援を受けたりして、選手として生計を立てている人というのはまずいないと思います。

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 驚かれることも多いんですけど、パワーリフティングはオリンピック競技でもないので、例えば世界大会に出るにしても、かかる費用は全額自費なんですよ。一回の遠征で60万、70万円くらいが自分の財布から飛んでいってしまうんです。私の場合、初任給のボーナスもすべて遠征費につぎ込みました。

ある日の練習光景

――それでも世界に挑み続けるというのは、すさまじい熱意ですね。ちなみに社会人になると、それまでと違って、トレーニングにかけられる時間が減ってしまうのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

野村 そうですね。成績も落ちました。朝も早いし、夜もトレーニングしてから帰宅すると、寝るのも遅くなって……みたいな感じで、トレーニング時間は本当に短くなりました。

――並々ならぬ熱意で競技に取り組まれているだけに、成績が落ちたことで働き方を変えようと考えたりされることもあるのかと思うのですが?