圧倒的に女性の競技人口が少ないパワーリフティング界。それだけに、競技に打ち込み続ける女性に対して、周囲から奇異の目を向けられることもあるだろう。国内最強格の女性選手である野村優さん(24)は、そうした反応をどのように捉えているのか。
競技との向き合い方、そして、女性選手だからこその切実な思いについて話を聞いた。
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急に体から「ブチッ!」と音が鳴って…
――真剣にスポーツに取り組まれている以上、怪我と無縁でいられないように思います。また、尋常ではない重量を持ち上げるパワーリフティングとなると、練習時から怪我のリスクが付きまとうように想像するのですが、野村さんの場合いかがでしょうか。
野村 私は腰を痛めることが多いですね。最初に怪我をしたのは高校生の時でした。当時のライバルに負けるのが悔しくて、自分にとって限界に近い重量でがむしゃらにスクワットをしていたら、急に体から「ブチッ!」と音が鳴って。筋肉の線維が千切れる筋断裂でした。
1年前にも大会前に怪我をしてしまいました。そのときは、腰の仙腸関節の靭帯損傷でしたね。治療には3~4ヶ月の期間がかかって。
――それだけ休養していると、競技のパフォーマンスに直結する筋肉がかなり落ちてしまいそうです。
野村 やっぱり満足のいくトレーニングができないので、「落ちたな……」という感じでしたね。ただ、そのときは幸いベンチプレスだけはできたんです。なので、これで上半身の筋肉はなんとか保とうと思って頑張っていると……今度は肋骨を疲労骨折してしまって(笑)。怪我のリスクとの付き合い方は難しいですよね。