小回りが利く体制での映画製作
――それ以降けっこう速いペースで撮ってますよね。
今関 そうです。小回りの利く体制で。撮りたいものがいっぱいあったのと、予算が少ないんだったら僕自身もプラスアルファを出すことで作れた。また海外撮影ですけどね。次にモスクワで撮って、その次は台湾で撮ったりとかして。
――自主映画の体制で作ってもデジタル化のおかげで劇場にかけられることが可能になりました。
今関 そうそう。だから、自分の中ではお金がないから不自由とはあんまり思ってなくて。大所帯になると、小回りが利かなくなってめんどくさいことも多いし、まして海外ロケだと、そうしていかないと撮れないところもあった。ロシア語は分からないけど、ロシアのスタッフと一緒にああだこうだ言いながら撮るのも楽しかった。ウクライナしかり、台湾しかり。向こうの現地の人とコミュニケーションするのもすごく楽しかった。
――僕も、予算が集まらないから映画が撮れないじゃなくて、デジタル化のおかげでゼロベースでも何とかできるんだという思いになって、『Single8』は自主映画体制で撮った。今関さんにもBカメで参加していただきました。
今関 ありがとうございました。楽しかったです。
――一周した感じがしたんです。自主映画にまた戻って。でも、それがちゃんと劇場にかけられて、映画として見てもらえる時代になったんだなと。
今関 別にすごい大作映画を無理やり安く作るのと違うじゃない。もともとそんなに予算かからない映画だから。それを自由に撮れるというね。名も知れない人が撮った映画でも急に大ヒットしちゃう映画もあるし、面白ければいいという、まさに当たり前のことになっている。『カメラを止めるな!』や『侍タイムスリッパー』みたいな映画がたまに出てくるのも面白いですよね。
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注釈
1)『映画の肖像 黒澤明 大林宣彦 映画的対話』(1990)
2)『Momentous Events : Russia in the 90s「Russian Lullabies」』
3)今関監督は2004年8月に法定強姦と児童買春の罪で懲役2年4カ月の実刑判決を受けて服役した。
4)関顕嗣 プロデューサー 代表作『さくら』『さよなら、バンドアパート』『Single8』など。
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