今関 やる気もなかったし、やれないと思ったし。一番大きいのは大林さんですよね。大林さんと(妻の)恭子さんにはちゃんと謝らなくちゃいけないけど、会いづらいじゃないですか。なかなか連絡を取れなくて……1年半後ぐらいかな。会って謝りたいと連絡を取って。でもその時、恭子さんはまだ許してくれなくて、大林さんだけは会ってくれた。最初の10分ぐらいずっと僕は泣いてましたね。話ができなくて――。

 そのあと『カリーナの林檎』に追加撮影をした。劇映画に現実であったというドキュメンタリーの要素を足そうと、もう一度段取りして、もう一回チェルノブイリに行って撮った。

『カリーナの林檎~チェルノブイリの森』メイキング

 そうこうしていたら、日本で3.11の東日本大震災があって、急にこの映画がピックアップされるようになって。いろんな人から電話も来た。それで3.11の年の冬、12月ぐらいから、いろんなところに全国で公開されるようになった。映画を上映したいというなら、映画館だろうが自主上映だろうがどこでも付いていきますと。マンションの一室でやったこともありますし、お寺や教会でもやってます。そこへ行って、一緒に話をさせていただくというのを、それ以降1年以上ずっとやっていた。

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ウクライナで『クレヴァニ、愛のトンネル』を撮影

――その後に、本格的な復帰作の『クレヴァニ、愛のトンネル』を撮ります。

『クレヴァニ、愛のトンネル』英語圏用ポスター

今関 あれはウクライナですね。ウクライナ=チェルノブイリじゃなくて、美しいウクライナを見せたいという気持ちもあって。主演は未来穂香、今は矢作穂香。穂香ちゃんはその後大林さんのヒロインになった。『花筐』で。

――そうですね。『クレヴァニ』のプロデューサーは関顕嗣君(注4)でした。

今関 そうです。新作は無理だろうなと思っていたら、関君から連絡があって、予算は少ないけどキャバクラの映画をやらないかと。田舎から来た右も左も分からない新人の女の子がのし上がっていく話はどうだろうというので、企画書を見ながら考えたけど、結局10日ぐらいして「やっぱり無理だわ」と答えた。心情的にも今は無理と。でも、僕はこれを撮ろうとしてるんだと、クレヴァニにある緑のトンネルを『世にも奇妙な物語』みたいな不思議な空間として描く短編を自主企画でやろうとしていると話したら、「それいいですね」とその短編を長編にできないかとなった。日本編を足せばいけるんじゃないかと、急遽シナリオに手を加えて撮ったのが『クレヴァニ、愛のトンネル』です。

『クレヴァニ、愛のトンネル』スチール

――その時もウクライナロケもあり、少人数スタッフだったんですよね。

今関 そうです。『カリーナ』の時よりもっと少人数でやりました。

――その人数で映画が撮れるのはデジタル化のおかげも大きいですよね。

今関 デジタル化のおかげと、あと、8ミリで育ったので、まあ何とかなると。プロでずっとやってきた人はなかなかできないだろうけど、僕なら創意工夫ができると。キャストとカメラがあればなんとかなるっていう。