――ライブには行きましたか。

出窓 東京の高校だったので電車に乗れば行ける距離だったんですが、家が厳しくて行かせてもらえませんでした。でも高校3年生の時に「レッツポコポコ」が解散することになって、解散ライブの時は親に嘘をついて渋谷のライブハウスまで行きました。お小遣いを握りしめて。

レッツポコポコ 公式YouTubeより

――実際に見た“推し”はどうでしたか。

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出窓 門限があったからアンコールまでは聴けなかったんですけど、それでも私にとっては神様みたいな存在だったので、彼女が目を合わせてくれてすごく感動しました。

――推しグループの解散後は?

出窓 高校生の頃に「みんなのこどもちゃん」という2人組を推すようになり、大学生になってから本格的に通いはじめました。「人との関わりをうまく作れない『壁』を持つ生きにくい子どもの心の叫びを歌にする」というコンセプトで、ライブでもいつも大きな看板を背負っている姿がやっぱり神様みたいで。

――十字架を背負うキリスト、みたいな。

出窓 まさにそうですね。育った家がクリスチャンの家だったので、ついそういう連想はしてしまいました。でも実際、渋谷駅から道玄坂の上にあるライブハウスまで衣装や小道具が入ったキャリーケースを持って登るのが大変で、あの坂を「ゴルゴダの丘」って呼ぶ運営の人もいるんですよ。

出窓さんが推し始めた時期の2人組だった「みんなのこどもちゃん」 公式Xより

「月に10回通えば、あっという間に10万円ぐらいなくなりますね」

――大学生になるとライブにも通えると思うんですが、お金も使うように?

出窓 アルバイトのお給料を全部使うくらい、月に数万円は使っていたと思います。

――リアルな額ですね……。その内訳は?

出窓 「みんなのこどもちゃん」はライブのチケット代がだいたい3000円で、ドリンク代600円。ライブ後の「特典会」でのチェキは1枚1500円でした。いつも3、4枚は撮るので1回のライブで1万円くらいは使ってました。月に10回通えば、あっという間に10万円ぐらいなくなりますね。

 

――あっという間に。

出窓 それと別に、月に1回は「通販チェキ」もあります。ライブ衣装と違う特別な格好で、メンバーが凝ったメッセージを書いてくれるんです。最後の1枚を買えた人におまけがつくこともあって、それを目当てに“積む”(複数買い)こともありますし、地方公演があれば遠征費もかかります。

――費用はどう工面していたんですか。

出窓 大学は実家から通っていて生活費はかからなかったので、メイドカフェやコンカフェでアルバイトしてそのアルバイト代を全部使っていました。