真っ白な階段を抜けて町を歩く。砂浜にポツンと赤い鳥居が建っていた
ちなみに、その交番の脇には松前重義なる人物の石碑が置かれていた。松前さんは東海大学の創始者にして、武道大学の設立を提唱。それがきっかけとなって1984年、勝浦に国際武道大学が開校した。
その名の通りに武道各種に加え、各種スポーツの強豪校。我らが阪神タイガースの頼れるサウスポー・伊藤将司も国際武道大の出身だ。勝浦の町も、武道大のおかげで“学生街”の一面を持ち合わせているのかもしれない。
駅前広場をうろうろしても何にもならないので、勝浦の町を歩く。駅前から南西に向かって伸びる通りがどうやら駅前メインストリート。商店街というほどではないが、いくらか商店が並び、まっすぐ下って国道を渡ると、ほどなくリゾートホテルの三日月シーパークホテル勝浦が見えてくる。その裏手に控えているのは海水浴場だ。
勝浦中央海水浴場と名付けられるこの砂浜の真ん中には、赤い鳥居がポツンと建っていた。近づくと、「熊野貴船神社」の扁額が。けれど、あたりを見渡しても神社らしきものはない。どういうことかと調べてみれば、昔はここに本当に神社があったらしい。
ところが、たびたびの災害によって社殿が壊れてしまい、内陸の高台に移転。この場所に神社があったことを伝えるために、後の世の人がこの鳥居を建てたのだとか。
いまふうの言い方をするならば、災害遺産といってもいいのかもしれない。いずれにしても、砂浜にポツンと建ち、ときに波に洗われる鳥居というのは、なかなかに風情があるものだ。
海水浴場の脇から海に沿って歩いてゆく。すると、すぐに勝浦漁港が待ち受ける。ドデカい倉庫がずらりと建ち並び、そこからこれまた巨大なトラックが出たり入ったり。
昼下がりに訪れたから、朝の早い漁師たちの姿はまばら。堤防に囲われた勝浦漁港には、たくさんの船が係留されていた。勝浦漁港は、カツオにマグロ、キンメなどが水揚げされる、日本有数の港なのだという。