茂原駅や上総一ノ宮駅、そして勝浦駅などがあるのは、JR外房線だ。“外房”の名の通り、房総半島の外側を走る。終点の安房鴨川駅では内房線と接続して、ぐるりと房総半島を一周している。
ここで、外房といえば何だろうか。安房鴨川でシャチと戯れるのもいいかもしれない。が、やっぱり何はなくとも太平洋である。東京湾のような内海とはまったく違う、どこまでもどこまでも広がる大海原が目の前に広がっている。そして、それをいちばん感じることができるのが、やっぱり九十九里浜ではないかと思うのである。
……などと、茂原駅のロッテリアでアイスティーを飲みながら、冬の九十九里浜でも見てみようかと考えた。で、地図を眺めていると、「長生村」という文字が飛び込んできた。
千葉県“唯一の村”「長生村」には何がある?
調べてみると、長生村は千葉県では唯一の村なのだという。そして、最寄り駅は茂原駅のお隣、八積駅。最寄り駅というよりは八積駅そのものが長生村の中にあり、つまりは玄関口というわけだ。
このところ、東京都の檜原村や愛知県の飛島村など、いくつか村を巡らせてもらっている。となれば、千葉県で唯一の村、長生村にも行かねばなるまい。どうせ茂原駅からはひと駅足を伸ばすだけ。地図を見る限りは九十九里浜まで長生村は広がっているようだ。もし可能なら、海まで行ってみよう……。
そんなわけで、茂原駅から東京駅方面ではなく反対側、上総一ノ宮行きの電車に乗った。高架のホームからすぐに下って地上を走り、車窓が田園地帯に移り変わって5分弱。あっという間に八積駅に着く。
茂原駅が立派なターミナルだったのに対して、八積駅はごくごく小さな駅だ。ホームは相対式の2面2線。お互いが跨線橋で結ばれていて、改札口は南側にひとつだけ。もちろんエスカレーターもエレベーターもない。
改札口には自動改札などというものはなくて、簡易IC改札機がひとつ。いちおう無人駅ではなく、駅員さんはいるみたいだ。駅舎は長生村のコミュニティセンターとの合築になっている。