辛かった高校生活を『NARUTO』が救ってくれた

――高校を退学することも考えたとお話しされていましたが、どんな点が嫌だったのでしょうか。

ムラムラタムラ まず何より勉強が嫌いで、毎年アウトにならないギリギリのラインで進級してました。それに加えて「同じクラスの奴らと同じような生き方はしたくない」という“尖り”もあって。周りに「俺は芸人になる」と宣言していたので、唐突にミニコントをやらされたり、お笑い的な無茶ぶりも結構ありました。

 所属していた柔道部も、上下関係が厳しいのはもちろん、夕方に全体の練習が終わった後も遅くまでウェイトトレーニングをしたり、とにかくつらかったです。それでも卒業できたのは、親の説得もありましたが、好きな漫画『NARUTO-ナルト-』のおかげです。作中に「忍者とは忍び耐える者」というセリフがあって、このつらい日常を耐えながら「どうすれば面白くできるか」と考えれば、良い経験になるんじゃないかと。

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――柔道では黒帯初段を所持されているそうですが、幼少期から習っていらっしゃったんですか。

ムラムラタムラ 柔道は高校から始めました。小中学校では野球や陸上をやっていて、得意なものを生かすなら高校でも続けるべきでしたが、芸人になる以上はいろんな経験を積もうと、正反対の部活を選びました。これはちょっと後悔しています。

 というのも、陸上部の女子からバレンタインにチョコをもらったり、放課後に呼び出されたりして、その子がかわいかったんですよ。でも「自分は柔道部だし、オタクだし、モテるわけがない。芸人を目指すと宣言しているし、ドッキリなんじゃないか」と思って、真に受けなかったんです。変に柔道部に入らず陸上部を選んでいたら、もっと素直になれて良い青春時代を送れたんじゃないかと、ずっと悔やんでいます(笑)。

さや香、蛙亭、ファイヤーサンダー…同期の活躍は素直にうれしい

――高校卒業後に、目指していたNSCに入学されました。同期には、さや香やファイヤーサンダー、蛙亭といった後に賞レースで結果を残すことになるメンバーがいらっしゃいます。

ムラムラタムラ 入ってすぐに「自分より面白いヤツってこんなにいるんだ!」と思いましたね。僕の育った地域は人口も多くないですし、芸人を目指す人も僕以外にほとんどいませんでした。周りからは「面白い」と言われていましたし、自分が一番面白い自負もあったので、ちょっとびっくりしました。

 ただ、ビビるとか悔しさといった感情はなくて、逆にワクワクしましたね。『ドラゴンボール』の悟空って、相手が強ければ強いほどワクワクしますよね。あんな感じです。

 

 同期では蛙亭が最初からめちゃくちゃエリートでしたし、さや香の2人も別コンビではありながら、それぞれすごくて。新山くんがファイヤーサンダーの﨑山くんと組んでいた「オリオン」というコンビは、見たことのないお笑いをやっていて衝撃を受けました。みんな今でも面白いままここまで続けているのは、うれしいです。