とにかく声がデカかった
――ムラムラタムラさんは当時、同級生の方と「ゆーひび」というコンビを組まれていました。どんな芸風だったのでしょう。
ムラムラタムラ 今とは違って、設定を重視して割と練ったコントをメインにしていました。NSC時代は結構先輩のネタを見る機会があって、中でもななまがりさんにはかなり影響を受けましたね。
ピン芸人になったのは、相方が体調を崩して入院してしまい、1人でライブに出る機会があったのがきっかけです。1人になって冷静に考えると、自分の強みはとにかく「声」。NSCで声の大きさや発音を結構褒められていたので、これは武器だと考えてネタを練っていきました。
まだゆーひびの解散前ですが、ピンとして初のライブでやったのは「大佐」というネタです。軍隊風の衣装を着て、大きな銃を持って舞台に立つのですが、笑いをとるのはとにかく「デカい声」。ひたすら大声で、腕に止まった蚊の対処法とか、熊に襲われたときの対応をレクチャーする内容でした。
このネタがそこそこウケて、ライブのMCをやっていた先輩が、その日の1位にも選んでくださって、これまでコンビでは目立った結果を出せていなかったのに、案外ピンとしても生きていけるんじゃないかと思うようになりました。コンビと違って、ピン芸人は自分がやりたいことを、勝手に、そしてすぐに試せるやりやすさもあって、それも良いなと。
「もっこり」は「ムラムラ」から
――「ムラムラタムラ」という芸名は、当時から名乗られていたんですか。
ムラムラタムラ 今の芸名は、相方の体調が回復せずに解散することになって、そのタイミングで同時に発表しました。どうせなら、しょうもない名前にしたい。でも、苗字の「田村」は残したいし、覚えやすさも欲しい。そこでパッと浮かんだ「ムラムラタムラ」を採用しました。
変な芸名にしたことで、ライブでも話を振ってもらえるだろうなと考えて生まれたのが、持ちギャグの「もっこりからのリーモコちゃん」です。最初は芸名の「ムラムラ」からの連想で「もっこり」という言葉が良いなと思いました。「もっこり銀行」とか「もっこり音頭」とか、どんな言葉に合わせても音が面白いじゃないですか。
ただ、もっこりだけだと何となくすわりが悪い、どうしようと考えていて「そういえば、もっこりの反対を示す言葉ってないな」と思い付きました。もっこりの逆、それならば「リーモコ」じゃないか、さらにギャグとしてのリズム感を追求していくうちに「もっこりからのリーモコちゃん」が完成しました。言葉が最初で、動きが固まったのはその後です。

