国民的スターだった中居さんはなぜ、一斉に番組を降板せざるを得なかったのか。フジはなぜ、名立たる広告主から一斉にCMを引き上げられたのか。そして、最大のポイントと言えるのが、フジが女性から報告を受けながら、中居さんの出演を継続させた判断は適切だったのか。いずれも、報道機関が全力で取材すべき尋常ならざる事態です。

バラエティ畑を歩んだ港浩一社長 ©文藝春秋

 もちろん、被害女性が傷つくような事実まで何でもかんでも報じるべき、というわけではありません。まして、仮にトラブルが極めてセンシティブなものであればなおさらです。加害者側の中居さんも守秘義務がありますから、当然、詳らかに話すことはできない。ただ、一定程度「何が起きたか」が分からないと評価しようがありません。中居さんがここまでの社会的制裁を受けるほどの事案だったのかどうか。「性加害の有無」以外は否定しなかった松本さんの時と比べても、不透明な部分が目立ちます。メディアは当事者のプライバシー保護とのせめぎ合いの中、ギリギリのところを攻めて、きっちりと報じるべきです。

 とはいえ、大手メディアの場合、プライバシー侵害だ! 人権侵害だ! という世間からの批判も怖い。僕もフジの番組では自由に発言しているつもりですが、調査権限やその能力があるわけではない。これまでの実績から見ると、世間からの批判をものともせずに斬り込んで、調査・報道していく力は、悔しいけれど文春が群を抜いています。中居さんと女性を巡って何があったのか。フジの関与はどこまであるのか。会社としての体質の問題なのか。取材を続け、読者に事実を提供して欲しいと思います。

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 12月26日発売号では事件当日の会食について「X子さんはフジ編成幹部A氏に誘われた」としていましたが、その後の取材成果を踏まえ、1月8日発売号以降は「X子さんは中居に誘われた」「A氏がセッティングしている会の”延長”と認識していた」と修正しています。