「腹は立つけど、文春の役割は認めないといけないと思う。報じることで、変えようという流れを作ったわけですから。でも――」
「週刊文春」の取材にそう語るのは、元大阪府知事・大阪市長で、弁護士の橋下徹氏(55)だ。
誤りの上書きは、読者に不誠実
僕は、今回の中居正広さんとフジテレビの問題に関する「週刊文春」の報道については、意義や価値があったと思っています。極めて影響力の大きい芸能人に対し、テレビ局側が女性を接待要員のように扱っていたとされる疑いを問題提起し、それがトラブルにまで発展していたことを明らかにしました。中居さんは芸能界引退を発表し、フジテレビは今、一連の対応に追われています。
旧ジャニーズ事務所の性加害問題や松本人志さんの問題と同じように、報じたことによって社会を大きく動かしました。僕も政治家だった時、私生活も含めて散々書かれました。仕方がないとはいえ、個人的な感情で言えば、文春のことは決して好きじゃない(笑)。好きじゃないけれど、報道機関として果たしている役割は認めざるを得ません。
ただ、だからこそ、注文もあります。文春は世の中に数多ある雑誌とは違って、現実に政治家の不祥事を報じてクビを取ったり、性加害報道で社会を変えたりして、間違いなく、公共性・公益性を担う重要なメディアです。権力を持つ者が一番恐れている存在が文春だと言っても過言ではない。であるならば、世間の面白おかしい噂話を即座に報じればいいというような“便所紙雑誌”の類とは一線を画さなきゃいけない。そのために必要なのは、誤りがあれば、きちんと訂正するということです。