サブウェイの魅力と店舗の運営効率をどう両立させるのか
ただ、気になるのは、店舗ごとによる製品のバラツキである。実は今回、上記の店舗以外にもいろいろサブウェイを訪れてみたのだが、店舗ごとによるサンドイッチにバラツキがあることが気になった。
特に、サブウェイでは注文を受けてからサンドイッチを手作りするため、どうしてもその完成具合に差ができやすい。私が訪れたとある店舗でも形が崩れて出てきた……ということもあった。
ワタミはサブウェイを中長期的に3000店舗まで増やすとしているが、そこまで増えるのならなおさら。マクドナルドのように機械調理に全振りするなら製品も均質になるが、絶対に均質にならないのが人間だ。ここをどうするか。トレーニングを十分に行うことが解決策の一つだが、それでは社員やアルバイトの労働時間を増やすことにつながる。
拭えない「ワタミ=ブラック企業」というイメージ
ワタミはかつて社訓に「24時間365日死ぬまで働け」を掲げ、2008年に新入社員が過労自殺したことなどから「ブラック企業」として社会的に大きな批判を浴びた。現在もそのイメージが払拭しきれたかには疑問符がつく。それだけに、なおさらそのバランスは難しい。
また、そもそもサブウェイがマクドナルドに対抗する軸として打ち出している「健康」というもの自体、均質に店舗を広げていくチェーン展開と“イメージ”のレベルで相反する。3000店舗レベルの運営を行うためには、ある程度の合理化・機械化は避けては通れないけれど、店舗運営がすべて機械化されてしまえば、「人の手で健康に良いものを食べる」というイメージに傷が付いてしまうこともありそうだ。
そもそも「健康」に訴求したところで結局、顧客は味(それも中毒性のあるものが好まれる)や価格といった、もっと直接的な欲望に忠実なのも確か。サブウェイの魅力と、こうした「欲望」をどう両立させていくかがポイントだろう。
……というわけで、サブウェイの今後がどうなるか、懸念点もある。しかし色々な方向でサブウェイが変わってきているのもまた事実。
ワタミが本格的に参画したあと、サブウェイがどのような展開を辿るのか、注目していきたい。
