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テレビが失った「ほとんどビョーキ」の精神
結局、テレビが最もパワフルだった1980年代を象徴していたのが『トゥナイト』をはじめとしたお色気深夜番組だったと言えるのかもしれない。
山本晋也と田原総一朗に共通する「ぎりぎりのところを攻める」スタイルは、テレビジャーナリズムの本領である。
テレビには映像がある。カメラに映ってしまった表情や仕草には言葉を超えた偽らざる真実が露呈する。映画監督でありテレビディレクターだった山本と田原はそのことをよくわかっていたのだろう。山本はどこかシニカル、田原は相手を挑発するというスタイルの違いはあったが、ともにリアルを浮かび上がらせる映像の力を信頼していた。
コンプライアンスの遵守を求める声の高まりなど時代も大きく変わりつつあるなか、テレビはそのパワーをどうすれば取り戻せるのだろうか?
性風俗に限らず、「ほとんどビョーキ」なものはどんな時代にも存在するだろう。まずはそれをいち早く発見する感性を研ぎ澄ますことが必要なのではないか。『トゥナイト』という番組からは、そんなことを考えさせられる。
太田 省一(おおた・しょういち)
社会学者
1960年生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得満期退学。テレビと戦後日本、お笑い、アイドルなど、メディアと社会・文化の関係をテーマに執筆活動を展開。著書に『社会は笑う』『ニッポン男性アイドル史』(以上、青弓社ライブラリー)、『紅白歌合戦と日本人』(筑摩選書)、『SMAPと平成ニッポン』(光文社新書)、『芸人最強社会ニッポン』(朝日新書)、『攻めてるテレ東、愛されるテレ東』(東京大学出版会)、『すべてはタモリ、たけし、さんまから始まった』(ちくま新書)、『21世紀 テレ東番組 ベスト100』(星海社新書)などがある。
社会学者
1960年生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得満期退学。テレビと戦後日本、お笑い、アイドルなど、メディアと社会・文化の関係をテーマに執筆活動を展開。著書に『社会は笑う』『ニッポン男性アイドル史』(以上、青弓社ライブラリー)、『紅白歌合戦と日本人』(筑摩選書)、『SMAPと平成ニッポン』(光文社新書)、『芸人最強社会ニッポン』(朝日新書)、『攻めてるテレ東、愛されるテレ東』(東京大学出版会)、『すべてはタモリ、たけし、さんまから始まった』(ちくま新書)、『21世紀 テレ東番組 ベスト100』(星海社新書)などがある。
