東野 その意味でも、ロシアに勝利の果実を絶対に与えてはならないと私は考えています。専制国家の侵攻を世界が黙認してしまえば朝鮮半島や台湾での有事に繋がりかねないし、グローバルサウスの国々に影響が及ぶ可能性だってある。
私には凄い後悔があって、2014年にロシアがクリミア半島に侵攻したとき、「この半島はソビエト連邦崩壊前はロシアだったしな……」という諦めみたいなものがあって、死力を尽くして「それは違う!」って訴えることができなかったんです。西側諸国のスタンスもそんな感じでした。しかしそれが、ロシアによるウクライナ侵攻という大きなしっぺ返しを食らうことになってしまった。
だからこそ今回は、国際政治学者としてダメなものはダメと言い続けたい。私たちは武力による領土の変更は許さない、ダメなものはダメ、と言い続けなければなりません。
日本のリハビリ支援や地雷撤去はウクライナで評価されている
――日本は今後、ウクライナに対してどんな支援をしていけばいいのでしょうか。
東野 日本は資金的援助の他に越冬支援にも力を入れています。ウクライナの冬は厳しいのですが、ロシアの攻撃によってエネルギーインフラをかなり破壊されてしまいましたから。また、保健・医療体制の支援、深刻な傷を負った兵士に対するリハビリ支援などは、ウクライナでも高く評価されています。
あとは地雷原処理でも日本は一役買っていますね。いまやウクライナでは国土の3分の1、つまり北海道と東北地方を合わせたより広い面積の土地に、ロシアによって地雷が埋められています。その撤去に、日本の技術が凄く役に立っている。日本はかつてカンボジアの地雷撤去に大きな貢献をしましたが、今は日本とカンボジアが一緒になってウクライナで撤去作業をしているんです。まだまだ数は足りませんが……。
――私たちが個人で出来ることはありますか。
東野 一番はこのウクライナ戦争に目を向け続けることです。厳しい視線が抑止力になることもありますからね。また、はちみつやワインなどウクライナ製品を購入するとか、寄付という手段もあります。私はテレビやメディアでお話しさせていただいた謝礼のほとんどを寄付に回しています。ただ怪しい業者もいるので、ウクライナ政府や現地メディアが設けている寄付サイトであれば、確実に気持ちがウクライナに届くと思います。

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