ロシアによるウクライナ侵攻が始まってから、24日で3年が経過します。いまだに終戦への道筋は見えず、アメリカのトランプ大統領は「停戦させる」という意志を表明していますが、その本気度も不透明です。
戦争は終わるのか、そして終わるとすればどんな条件が想定されるのか……。国際政治を専門とする筑波大学の東野篤子教授にYouTube「たかまつななのSocial Action!」で聞きしました。(たかまつなな/笑下村塾)※取材は、2024年12月23日に実施しました。
――2022年2月24日に始まったロシアによるウクライナ侵攻は、まもなく4年目を迎えようとしています。双方の死傷者は100万人を超えると言われていますが、まだ終わりは見えないのでしょうか。
東野篤子(以下、東野) 残念ながら非常に厳しいと言わざるを得ません。ロシアのプーチン大統領はこれまでに占領した東部のルハンシク州、ドネツク州、南部のザポリージャ州、ヘルソン州などの地域を完全に領土化したいでしょうし、何ならウクライナ全体をロシアの影響下に置きたいと考えているはずです。
対してそれを全力で阻止したいウクライナですが、戦力はロシアの3分の1くらいで今は差し込まれている状況です。プーチンも有利に進んでいると分かっているから、勝っている側から終戦を口にすることはないでしょうし、そもそもプーチン自身に止め方が分かっていない可能性もあります。 停戦や終戦には高度な政治的判断が必要になってきますから。
――高度的な政治的判断とは?
「中国が実際にやっているのはロシアへの援助です」
東野 アメリカのトランプ大統領と、中国の習近平国家主席の出方への対応です。2人はトランプ大統領の就任直前に電話会談でウクライナ戦争について討議したと言われており、プーチンはこの2人の動向を注視していると思っているでしょう。
特に、中国の動きにロシアは敏感なんですよ。 プーチンと習近平は頻繁に会っていると言われていますし、ロシアが核兵器を使うんじゃないかと危惧されていた時も、中国から「絶対に使ってはならない」と釘を刺されたはず。中国に強く言われたことに対してはプーチンも無下にできないですから。
――なぜロシアは中国を無視できないのでしょう。
東野 中国は表向きには中立を守ると言っていますし、平和のために行動していると宣言しています。
ただ中国が実際にやっているのは、西側からの制裁に苦しむロシアへの援助です。西側が禁輸にしている部品を中国や香港経由でロシアに輸出していて、どう見ても助けていると言わざるを得ない。そんな関係もあり、ロシアは中国の意志をかなり慮っています。トランプ大統領もそれがわかっているから、まず習近平との電話会談に持ち込んだのだと思います。