病院から逃げ出した後は、A子さんの口座から50万円を引き出し、電車を乗り継いで全国を転々としていた。2週間後に知人宅を訪れ、「かくまってほしい」と頼んだが、警察から連絡を受けていた知人はこっそり110番通報し、その場で身柄を拘束された。

 調べに対し、大岩は「殺すつもりはなかった」と殺意を否認。警察は殺人罪で送検したが、検察は「この状況証拠だけでは、殺意が立証できない」として、傷害致死罪で起訴した。

「自分は暴力について間違った価値観を持っていた。相手が悪いことをすれば、自分がされてきたぐらいの暴力は許されると思っていた。今は反省している。被害者を憎んでいたのではなく、心から愛していた」

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束縛男に下された罰は…

 B子さんに対する傷害事件で罰金刑を言い渡されてから、わずか半年後に起こした事件。A子さんの父親は被害者参加制度で出廷し、「傷害致死罪の最大限の20年を求めたい」と意見陳述したが、大岩に下された判決はたった懲役8年だった。

写真はイメージ ©getty

 元妻やB子さんは「自分たちは運がよかっただけで、殺されてもおかしくなかった」と口をそろえている。