仮設管敷設に向けての動き
輪島市の水道担当者に尋ねると、「真浦町に隣接した輪島市側の給水エリアでは、地震の復旧工事に併せて設備を増強したので、市境を越えて水を融通できる分量は十分にありました。珠洲市から依頼があったらすぐに送水できるようにしようと待っていたのです。輪島市長からも早い段階から『依頼があったら即座に対処するように』と指示が出ていました」と明かす。
しかし、珠洲市からの依頼はなかなかなかった。輪島市が勝手に珠洲市の給水エリアで配水工事をするわけにはいかない。
仮設管敷設に向けての動きが始まったのは、8月6日になってからだ。同日、輪島市の臨時議会が開かれ、「新設連絡管」の設置を珠洲市と協議するための議案が全会一致で可決された。
輪島市と珠洲市とでは、異なる説明がされた
公共施設はその自治体のものだ。しかし、地方自治法の規定によると、関係自治体の協議でエリア外に設置することができる。その場合は「議会の議決を経なければならない」とされていて、輪島市としては珠洲市の依頼を受けた手続きの一つだった。が、珠洲市では異なる説明がなされた。
「輪島市側ではまだ水道が復旧できていないエリアがある。そうした中で珠洲市に水をいただくと、輪島市民がどう思うかというところもあるので、輪島市議会が『協議をしていい』という議決をしてから進める」(8月2日、珠洲市主催の住民意見交換会)などと珠洲市の担当者は述べたのだった。
そうした「齟齬」がありはしたが、ようやく9月10日に仮設管敷設の工事が始まった。担当者は「工事は9月末までに終わるので、それから各戸に通水できるかどうか調べる」と話していた。つまり、10月になれば真浦町でもそれぞれの家で水道が出るようになると期待された。
しかし、9月21日に発生した奥能登豪雨のせいで、工事が終わるどころか、やり直しになってしまう。今もまだ完工の時期は未定だ。




