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児玉に電話して「世間でどういおうと、オヤジを信じています」と伝えたら…
太刀川が児玉に稲川の名を告げると、児玉がすぐにかわって電話に出た。稲川は、児玉の体の心配をまずし、元気であることを確認すると、児玉にいった。
「オヤジ、世間でオヤジのことをどういおうと、おれは、オヤジを信じています」
稲川は、児玉とは稼業がちがっていた。雲の上でおこなわれている政治の世界のことは、まったくわからなかった。ただ、政治には裏の裏があることはわかっていた。単純にとらえることのできない複雑な世界であることもわかっていた。
児玉は、少し気分の晴れたような声でいった。
「稲川君、心配かけてすまないね……」
稲川は、児玉にいった。
「オヤジ、おれにできることがあれば、何でもいってください」
これからも、児玉の命をねらう者がいるかもしれなかった。稲川は、児玉にどういうことが起ころうと、体を懸けても守るつもりであった。
「稲川君、本当にありがとう」
稲川は、電話を切るなり、石井に命じた。
「オヤジも、これからは何かと大変だろう。毎週、日を決めて、必ずオヤジのところに何か届けろ」
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