「告白がうまくいかず、自分がみじめになった」

 警察は遺留品や現場の防犯カメラなどから犯行を特定し、深谷を殺人未遂容疑で逮捕した。身勝手極まりない鬼畜な犯行だが、深谷は犯行自体を「身に覚えがない」と否認し続け、取り調べでは完全黙秘を貫いた。

 勤務先の総務部広報担当は「公私ともにトラブルはなかったと聞いている。否認している事件でもあり、会社としてのコメントはひかえる」と話した。

 結局、検察は「殺意を立証する証拠がそろわなかった」として、殺人未遂罪での起訴を諦め、傷害罪で起訴した。するとその途端、深谷は態度を翻し、「自分がやった。申し訳ない」と言って、慰謝料500万円を支払った。

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「彼女に告白したがうまくいかず、同じ職場にいる自分がみじめになった。誰かに嫌がらせされていると思えば、きっと会社を辞めるだろうと思った」

 深谷は勤務先から車で約20分ほど離れた公営の施設に両親とともに暮らしていた。中学時代は野球部に所属し、勉強も熱心だったというが、高校卒業後、地元の信用金庫に勤めるようになってから、周囲との関わりを積極的に持たなくなった。会社の同僚には「プライベートがまったく分からない男」と言われていた。