日産とホンダの経営統合協議が2月13日に打ち切りとなった。自立再建を模索中とも言われる日産を、今後に待ち受ける試練とは? 井上久男氏のインサイドレポート「ホンダとの協議を蹴った“プライド高き”日産に残された4つのシナリオ」から一部紹介する。
5年間で抜本的改革をできなかった内田体制
賛否両論ある中で、なぜ日産は協議打ち切りを急いだのだろうか。日産・ホンダ両社内には「問題は内田誠氏のリーダーシップの欠如。ホンダによる子会社化を嫌い、自力再建に舵を切ろうとしている一部の役員を内田社長が制御できなかった」と見る向きは多い。
日産は自力再建に向けて舵を切り始めたが、それは不可能に近いと筆者は感じている。内田氏が社長に就任したのは2019年12月。すでに当時からブランド力低下による値引き販売での収益性悪化、「ゴーン経営」時代の負の遺産である過剰設備の解消が大きな課題であることはわかっていたはずだが、内田氏以下の執行部は効果的な対応策をほとんど打てていない。
日産には取締役会とは別に、執行の最高意思決定機関である経営会議(EC)があり、そこで事業のことが決められるのだが、2019年12月からECメンバーはほとんど入れ替わっていない。ECメンバー以外の他の執行役員も同様に入れ替わりがほとんどない。
こうした点から見ると、この5年間で抜本的な改革をできなかった現経営陣で自力再建できるとは到底思えないのだ。日産が自力で再建するためには、内田氏以下の主要執行部メンバーを総入れ替えするしかないのではないか。