「激安ピザ」を販売するスーパーも…
3つ目は「ピザ」業界内でのポジションの問題だ。
他の業界も踏まえると、現在のピザをめぐるポジション取りは難しい。
例えば、今ピザを食べようと思ったら、スーパーマーケット各社が「激安ピザ」を販売している。ディスカウントスーパーとしてきわめて好調なオーケーは、直径30センチほどのピザを500円台で販売している。
その他、ロピアやライフなどでもピザは扱われており、ドミノよりも安価である。
価格競争でこれらの競合に立ち向かうことは難しいだろう。その際ドミノが取るべき方法は値段に還元できない価値をピザに作り出すこと。つまり「スーパーに比べるとちょっと高いけど、ドミノだから行く」店になることだ。
それを考えたとき「作り立て」を食べられるイートイン店舗は、もってこいだといえる。何よりこれまでずっとピザを作り続けてきた店の本領を発揮できる。
ショッピングモール店舗は良いことづくめなのだ。
ドミノ・ピザは絶賛リブランディング中?
「大量閉店」というと、どうしてもネガティブなイメージがある。ただ現在のドミノ・ピザを見ると、これまでの「特別なときに大人数で食べるピザ」というイメージから「気軽に一人で食べられるピザ」へとシフトしている最中だとわかる。
コロナ禍が落ち着き、単にこれまでと同じ運営方針で店を増やしていく方法は通用しなくなった。そんな時代の変化に合わせて店のあり方を変えつつあるのが、現在のドミノ・ピザの姿なのだ。いわば、リブランディングといってもいい。
だから店舗数についても「大量閉店」というより、適正な数に戻りつつある、という言い方が正しいのだろう。適正店舗数を探る中で、フードコートへの出店も徐々に増えていくかもしれない。
もちろん、課題は多い。ドミノがこれまで指摘されてきたような、店舗ごとでのピザの品質のバラツキや、注文システムのわかりにくさなどだ。これは、時代の流れ云々……というより、足元で解決すべきものだろう。
そうした課題も対処しつつ、ピザBENTOやショッピングモールへの出店がどのように進むのか。ドミノの取り組みが良い方向に転じるのか、見つめていきたい。



