省人化、無人化が進む戦場
だが不安が全くないわけやない。
トランプ政権が日本に求めるGDP3パーセントを防衛費につぎ込んだとしても日本単独では敵が北朝鮮一国だけならなんとかなるかもしれないが、中露とつるまれたら、とても国土を、いや日本人の安全、財産まで守り切れない。
そして今回登場した水機団の水陸両用車は米軍に配備され、すでに50年が経ち旧式となりつつあるが、米側がAAV7の後継としてこの日公開した新兵器ACV(水陸両用戦闘車)は装軌(キャタピラー)からタイヤ履きに、海上推進もウオータージェットからスクリューになり、省人化というかAIのおかげなのか砲塔も無人化された。また本家海兵隊では戦車廃止まで議論されるようになったばかりか、従来、海兵隊が得意としてきた敵性地域への強襲上陸作戦から島嶼部に小規模部隊を事前に配備するという遠征前線基地作戦構想に変わりつつある。
戦場が将兵の優劣でなく、ドローンにより左右されるようになったのは、ウクライナでこの目で見てきた通り、これからは戦場も省人化、無人化が進むのは必定であろう。自衛隊や日本は、そんな変化にも充分対応できているだろうか。
ウクライナを見て実感した「唯一の戦争を避ける手段」
これが訓練で本当に良かった……これが実際に有事となればそれが台湾であろうと沖縄であろうと、この美しいビーチもブルーならぬ敵味方両軍、いや民間人まで巻き込んだ流血でレッドビーチと化すであろう。しかし、こんな訓練が役に立つような事態はなんとしてでも避けなければならんが、相手は話が通じる文明国とは限らないのは3年以上、今もつづくウクライナの戦いを見てもあきらかである。今ウクライナが戦っている相手のロシアと北朝鮮は我が国の隣国でもあり、中国まで露朝の支援国である。
IF 25で日米の連携強化は国際社会にもアピールできたものの、今のアメリカの大統領の気まぐれで、もし、いや近い将来沖縄の米軍基地をグアムに移す……、どころか日米安保条約も改定して日本もアメリカが攻撃されたら共に戦え、それができないなら安保条約も一方的に破棄なんて、あの大統領なら言い出しかねない。それに備えるためにも日本一国だけでも周囲の敵国に「侵略をためらわせるに充分な武力を整え、訓練を通しそれを誇示する」必要が急務やろう。それが世界中の人々がウクライナを見て実感した「戦争を避ける唯一の手段」である。
写真 宮嶋茂樹

