「まったく知らなかった」秋篠宮さまの姿

「まず、卵料理についてですけれども、スクランブルエッグを作っていました。かたさもふわふわにできるようにというところで、こだわりを見せていたように感じます」

 秋篠宮ご夫妻が結婚した翌年の1991年2月、筆者は初めて秋篠宮さまに会い、以来、34年にわたって個人的な交際を続けているが、秋篠宮さまがスクランブルエッグを作るとはまったく知らなかった。厨房に立つ姿も想像できなかっただけに、悠仁さまの話はとても新鮮に映った。

1989年9月12日、記者会見を終えた礼宮さまと川嶋紀子さん(当時) ©JMPA

「かたさもふわふわにできるようにというところで、こだわりを見せていたように感じます」という、悠仁さまの臨場感にあふれる描写にも大変、感心した。家族だけが知る、というか、家族にしか見せない秋篠宮さまの貴重な素顔が見えた瞬間だった。

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将来は海外留学も視野に

 記者から、「ご両親は悠仁さまに将来留学することをお勧めしていると話されましたが、海外留学についてはどうお考えでしょうか」と、質問された悠仁さまは、次のように話した。

「はい。まず海外留学についてですが、海外に行くことによって、今までとは異なる経験をすることができたり、様々な国や地域から集まった人々やいろいろな文化に出会えたりすることができると思います。また、学問の面でも、新たな学びの視点を得ることができると思います。以前に父や姉も留学をしていたことがありましたし、母も海外で生活していた時期がありました。家族の意見もよく聞いて検討してみようと思います」

第2次世界大戦後のシベリア抑留や引き揚げに関する資料を展示する「舞鶴引揚記念館」を訪問後、復元された「平引揚桟橋」を訪れられた悠仁さま[代表撮影] ©時事通信社

 将来の希望として悠仁さまは、このように海外留学などを視野に入れているという。勉強や研究に励むことはとても大事なことではあるが、悠仁さまは秋篠宮さまに次ぐ、皇位継承順位第2位であり、将来、天皇陛下となる重い立場にある。その点が一般の大学生たちと大きく異なるところだ。

 成年皇族となり、悠仁さまの果たすべき役割は、さらに大きくなってゆくだろう。「今までとは異なる経験をする」ことや「新たな学びの視点を得る」ために、外国へ留学することは大きな意味をもつはずだ。

 しかし、自分の希望を実現するだけではなく、国民の望むところを見据え、それに上手に応えて欲しい。うまくバランスをとりながら国民と共にしっかりと歩んでもらいたい。

ご成年をお迎えになっての記者会見に当たり公開された悠仁さまのご近影。資料の修補作業を見学される悠仁さま 宮内庁提供