――逆に言えば、それまでは自分の時間とお金をほぼ相手に使っていた?
おりんりん そうですね。で、トレーニングを始めて半年ぐらいかな。ちょうど転職もして仕事も忙しくなり、トレーニングもあって……という時、彼から言われたんです。「仕事と筋トレと俺、どれが大事なの?」って。
で、「あんた以外やな」と言って別れました。だから、彼がきっかけで始めた筋トレでしたけど、気づいたら自分のためになっていて、その頃には彼なんかどうでもよくなっていたという。
あと、そもそも筋肉をつけることとケンカが強くなることはまったく別、ってことにも気づきました(笑)。
意識を変えられたあるボディビルダーの女性
――筋トレによってモラハラ男性とも縁を切れたということですが、そこからボディビルダーを目指すようになったきっかけは?
おりんりん 実は最初は、K-POPアイドルみたいな、細くて、腹筋あたりが引き締まってるような体型を目指してたんです。実際、当時はゴリゴリの筋肉がついてる女性を見て、「ああはなりたくない」とか、「ゴリラみたいやし、あんなん絶対嫌やわ」ってずっと言ってて。
でも、サリーアン加藤さんっていうボディビルダーの女性の方を見て意識が変わって。サリーさんが、女性の中では一番ライトな「ビキニ」というカテゴリーでボディビルダーの大会に出場してたんですけど、その動画を見た時、「あ、こんなにきれいなんや」って。筋肉と共に女性らしさも兼ね備えていて、ステージ上の身ごなしもしなやかで。あ、こういう世界があるんだって。
あとは、通っていたジムのスタッフさんに、「何か目標を作って出てみたら?」って言われていたこともきっかけになりましたね。
――大会への出場を勧められていたということですが、「才能がある」みたいに言われたことも?
おりんりん それはまったくないですね。コーチから「素質があるね」みたいなことは一切、言ってもらったことはなく。
ただ、周りからは、「真面目だね」とか「素直やね」「ストイック」っていうのはよく言われるので、「自分の指示をきっちりと守ってくれる生徒」という意味で、コーチやスタッフが信じてくれた部分はあったかもしれません。