元彼に復讐するためにはじめたトレーニングで筋トレにハマり、退職。運動未経験からわずか5年でプロボディビルダーになったマッスルおりんりんさんに、ボディビルの醍醐味から女性ゆえの困難まで、話を聞いた。(全3回の3回目/最初から読む)
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ディズニーは無理、飛行機は通路側 ボディビルダー「日常の不便」
――毎日お水を7リットル飲むということでしたが、トイレの確保も大切?
マッスルおりんりんさん(以下、おりんりん) それはありますね。20〜30分ごとにトイレに行くんで、ディズニーランドは無理かな。アトラクションに並ぶ列が長いと、行って戻っては現実的じゃないんで。行きたいんですけどね。
――新幹線や飛行機も通路側の席を確保する?
おりんりん 絶対、通路側です。一度、3人席の窓際になってしまったことがあって。女の子やし、私、頭はちっちゃい方やから、座ってるとそんなに体が大きく見えないんでしょうね。だから「ちょっと前通らせてください」って席を立っても、隣の人は「これくらいで通れるやろ」みたいな感じで脚をちょっと横にずらすだけなんですよ。でも私は脚にもボリュームがあるからそれじゃあ全然、前を通れなくて。
そういうちっちゃい日常の不便は避けて通れないですね。
――「日常の不便」というと、他にどんなことがありますか。
おりんりん 私の彼もボディビルダーなんですけど、彼は肩がデカすぎるせいで、真横を向いて寝られないんです。だから肩の高さというか大きさに合わせて、枕を3つくらい積まないと横を向いて寝られなくて。
あと、これは私もなんですけど、自分で背中は掻けないし、ピチピチの洋服を着ることはできても一人で脱げないとか。
そういう意味でも、私は筋トレも「ほどほど」をおすすめしてます。私たちは必要以上のことをしてますけど、一般の方が60キロ70キロの負荷をかけてスクワットする必要なんてないですし、余計に筋肉つけても良いことなんかないですよ。
ボディビルって「競技というより芸術に近い」
――なんというか、予想外のところで不便があるんだなと感じました。
おりんりん 普通に生きる上で必要ないところに筋肉つけまくってるわけで、本来は要らない筋肉ですからね。私はボディビルって「サーカス団」に近いと思ってて、だからこそ日常生活でも非現実的なことが起きるというか。
存在が非現実的なんで、「エグい」とか「化け物みたい」ってよく言われるんですけど、それはマッチョの人からすると褒め言葉です。私の中ではボディビルってアスリートとか競技というより、芸術に近くて。美術品を鑑賞するような感じなんですよ。
――そこがボディビルの魅力?
おりんりん 「ああ、こんなに筋肉ってきれいなんや」って感じると同時に、どれだけの時間トレーニングをしてきたのかなと、その肉体からストーリーを想像するのも楽しいんですよね。ちょっと変わってますけど。