ボディビルダーが賞金で生活していくのは本当に難しい

――では皆さん、賞金でカバーをする?

おりんりん アマチュアだと賞金は出ないんですね。1位を取っても、もらえるのはプロテインとウェアくらいで。どれだけ頑張って体を作ってもお金が戻ってこない、本当にコスパの悪い趣味です(笑)。

 ただ、プロになると賞金が出て、一番有名な「ミスター・オリンピア」っていう大会で優勝すると、7000万円ぐらい出るのかな。スポンサーもどんどんつくので、それがボディビルダーとしては一番の“成功”じゃないでしょうか。

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――金銭面で続けることが困難になる人も多い?

おりんりん 多いと思います。プロのボディビルダーより、軽く筋トレしてるフィットネスインフルエンサーの方がよっぽどお金にはなると思いますね。

 オリンピアは何千万と出ますけど、普通の大会だと、1位でも良くて100万円ぐらい。でも、遠征に行ったらそんなのすぐ飛んじゃいますし、そのお金をまた体作りに回すわけじゃないですか。賞金で生活していくのは本当に難しいと思います。

 そもそも、1年で体重を大幅に増やしたり減らしたりっていう過酷なトレーニングをするので、健康面でもそんなに長くは続けられないですね。

――女性の場合、妊娠・出産もあります。

おりんりん だから女性のボディビルダーで一番多いのは、お子さんを出産された後の方ですね。第2の人生じゃないですけど、やっぱりステージの上って輝けるじゃないですか。

 持って生まれた顔や体型ではなく、自己プロデュース力が重視されますし、年齢関係なく舞台に上がれるというのはいいですよね。

 

ジムのナンパは「すっごいストレス」

――まだ圧倒的に女性が少ない世界かと思いますが、ジムでナンパとかつきまといみたいな経験もある?

おりんりん 最初の頃はありましたね。ナンパされると、ジムって生活圏内にあるので、家までついて来られたらどうしようって恐怖があるんですよ。そうすると、相手と時間をズラさないと行けなくなったりするんで、すっごいストレスになるんです。

 1年くらい前、プレートを片付けてたら、「手伝いますよ」って声をかけてきた男性がいて。「あ、いいです。大丈夫です」と言っても譲らへんみたいな感じになって、そのうち腹が立ってきて。

 何が腹立つって、私のこの体見て25キロのプレートが重そうに見えるのかっていう。まだそんなに筋肉が足りひんのか、っていうそっちの意味でも腹が立って。で、ムカついたから「じゃあ全部お願いします」って押し付けましたけど、結構その後もついてくるし、鏡越しにマシンをしてたら目が合うし、ほんまコイツなんやねんって。

――それは恐怖ですね……。

おりんりん 結局、ジムのスタッフさんに「さっきからついてくる人がいます」って言いましたけど、一般の女性ってそれがなかなか言えないわけですよ。

 そもそもスタッフさんがいない時間帯もありますし、それで女性更衣室に入ってこられたらどうしようとかって考えるし。ほんまに、じっとしとけ、と思います。

 ジムに通っている男性に言いたいのは、生半可な気持ちで女の人に声をかけるなっていうことと、トレーニングは教えないで結構、ってことですね。