――体を仕上げていくまでに一番大変な調整はどんなもの?
おりんりん 最後の調整を前々日から当日にかけてやるんですけど、水分をカットし続けた果てに当日の朝、半身浴をしてさらに水を抜くんです。
で、水を取らずに半身浴をしたカラッカラの状態で、白米と脂の乗った牛肉のステーキを食べるんですけど、水がないから入っていかないんですよ。これが本当にしんどいです。
――そんな極限状態の中で本番を迎えるんですね。
おりんりん 私、毎回、大会前はステージのそばで泣くんです。陸上とかのスポーツだと、「よーいドン!」で走らないと分からないけど、ボディビルって、バックステージで他の選手の絞り具合を見れば、「あの人、強いな」って分かるんですよね。だからいつも不安になります。
日常では見せたくない筋肉
――ステージではご自身の筋肉をアピールするわけですけど、実生活では?
おりんりん 私、日常で筋肉を見せたくないんですよ。
――努力して作り上げた筋肉だけに意外です。
おりんりん ごつく見られたくないから、ダボっとしたオーバーサイズの服を着ることが多いです。そうするとちょっとは隠せるんじゃないかって。だから、今では逆に夏でもタンクトップで歩いたりとかはできないです。
――それでも、街中で話しかけられることもある?
おりんりん 「お兄ちゃんちゃうやんな? お姉ちゃんやんな。すごいやん。そんな腕欲しいわ」とかって話しかけられます。私としては精一杯、隠してるんですけど。
兵庫、東京ではそんなにないんですけど、大阪ではメッチャ話しかけられるんです。特に難波の、グリコのあたり。だからあの辺を待ち合わせ場所にするのはやめようかなって(笑)。
5年でプロになり「これからが大変やなって」
――昨年、未経験から5年でIFBB(国際ボディビルディング・フィットネス連盟)プロになりました。異例のことでは?
おりんりん ありがたいことにそういうお声はいただきますね。私の彼も同業で、彼は10年やって取れなかったんですけど、たまたま去年一緒にプロになれたんです。
ただ、これからが大変やなって。
――プロになって初めての大会が6月にトロントで行われるそうですね。
おりんりん そうです、6月のトロントプロです。人から見たら「5年でタイトルを取ってすごい」って思うかもしれませんけど、自分はポテンシャルがあるわけでもない。10年頑張ってきてプロになった人と、5年でプロになった人やったら、やっぱり体の差はありますから。今の方が、プロになる前よりも切羽詰まってます。