複数人でセクハラして圧力をかけることも…セクハラ加害者の巧妙な手口
ーーどうやって「証拠を取りにくいように」「声を上げにくいように」するのでしょう。
松阪 被害者に口止め料を払ったり、複数人でセクハラして被害者が声を上げないよう圧力をかけたり、逃げ場を作らないようにしたり……やり口はいろいろあって、かつ巧妙です。
これは信じてもらえるかわからないんですけど、私の場合は、セクハラ被害の直後にハッキングもされました。スマホとパソコンを同時に乗っ取られて。今まで嫌がらせを結構受けてきて、それをスクショもしていました。でもハッキングされたことで、会う約束を記録していたスケジュールとか、加害者とのメールのやりとりとか、証拠になるものが出せなくなってしまったんです。
ーーハッキングですか?
松阪 スマホやパソコンだけじゃなく、SNSまで乗っ取られたんです。SNSに関しては、すこし前にやす子さんやアインシュタインの稲田(直樹)さんがアカウントを乗っ取られたじゃないですか。ああいったハッキングって、実際にあるんですよね。
私の場合は、毎日1~2投稿していたのに突然できなくなって、友達が凄く心配してくれたんです。その後、乗っ取りやネット犯罪が怖くなってしまって、しばらくはスマホを使わず、プリペイド携帯で過ごしていました。
メディアにも出て、信頼も得ている人がセクハラをする
ーーセクハラする人たちは、どんな雰囲気なのでしょう。はなから加害者モードでもなさそうですが。
松阪 普通に社長さんらしい社長さんといった感じです。堂々としてて、話も上手で、メディアにも出ている方もいるので、信頼も得ているんですけど、でも実態はセクハラがあるという。
ーー年齢って。
松阪 年配の人が多いように思われがちですが、若い人からの被害も聞きます。見た目も、清潔感があって、ジムにも通っている感じで。格好もTシャツにジーンズ、ジャケットみたいな。
そこはもう、スタートアップ業界の正装みたいなものなんで。もちろんスーツの人もいますが、いずれにせよ信頼できるような立ち居振る舞いの方が多いです。
ーーやはり、セクハラ被害を受けたことを誰かに話したり、助けを求めたりするのは、簡単なことではないですよね。
松阪 当時は、誰かに話そうとかは思ってなくて。やりすごすことが賢いと教わってきましたし、そう思ったときもあります。加害者が顔の広い人だったので、人脈が崩れてしまうのが怖かったのもありました。そういった考えのほうが強かったですね。