アイドルグループ「フィロソフィーのダンス」(以下、フィロのス)のメンバーとして7年活動した経験を生かして、現在はアイドルやタレント向けのキャリアコンサルティングおよびメンタルケア支援を行っているのが十束おとはさん。第2の人生に踏み出そうとする元アイドルたちが直面する“壁”とは?(全2回の1回目/後編を読む)
◆◆◆
元アイドル、なぜ「キャリアコンサルタント」に?
――十束さんは、元アイドルのキャリアコンサルタントとして、アイドルのセカンドキャリア支援をしているそうですね。
十束おとは(以下、十束) はい。フィロのスを卒業して就職するにあたって、自分のアイドル経験を職務経歴書でどう表現すべきか迷いました。私の場合、現役時代からソロでゲーム関連の仕事をしていたご縁でeスポーツに関わる企業で働くことができたのですが、これはとても幸運な例だと思います。
たとえば日本武道館で単独ライブを開催したなどの分かりやすい実績があるなら、アイドルに詳しくない採用担当の方にも「それはすごい」と感じてもらえるかもしれませんが、もっと小さな規模で活動してきた元アイドルは、なかなか可視化できる実績や強みがないと感じている場合も多いです。
その子たちも一生懸命にアイドルとして頑張ってきたわけですし、絶対に何かしら強みがあるはずなのでそのサポートをできたらと思い日々仕事をしています。
――十束さんが考える、アイドル活動によって得られるスキルとは何ですか?
十束 まずは握手会やサイン会で磨かれる対人スキルですね。アイドルたちは、いらっしゃったお客さんに合わせて臨機応変に対応を変化させています。そういったファンの方に加え、共演者や関係者の方々とのやりとりもあって、コミュニケーション能力は本当に磨かれます。
ほかにも多忙な中でも練習を重ねてステージで発揮する努力、ひとつのことを継続する力など、アイドル活動を通して、さまざまなスキルが得られます。
――採用の場では、ひとつのことを頑張った経験のある人が好まれるとよく聞きますが、アイドルは「まさに」の存在ですね。