自分と同じように、うつ病や適応障害で苦しんでいる人の力になりたい。
自分らしく働けるヒントを多くの人に届けたい。
そう考えて始めたことを思い出したのだ。
「SNSはもちろん、リアルな友人からも、心を壊して苦しんでいる声を聞きます。『前に会ったときは元気だった……』という人も多くて、自分の過去を追体験しているかのような悲しい気持ちになります。うつ病に対する理解が及ばず、いまだに『甘えだ』『頑張れ』『いつ働けるの?』という言葉を浴びせる人がいます。パワハラや長時間労働で命を落とす人のニュースは後を絶ちません。
僕は、正社員でもフリーランスでも、どんな働き方であれ、『仕事は楽しいもの』であり、『自分らしく輝ける場所で得意を活かしたい』と思っています。理系院卒の自分が、最終的に中学生から20歳まで続けていたブログがきっかけで今は文章を書く仕事をしているように、苦手なことを無理して頑張り続けなくてもいいと伝えたい。感情を押し殺して心を壊してほしくない。もっと、強みを活かせる場所があるはず。これが『じぶんぽっく』というブログ名に込めた思いです」
その後迅斗さんは、うつ病からの社会復帰はもちろん、「できればうつ病を未然に防いでほしい」との思いから、ブログやXでの発信を「社会人の心の守り方」と枠組みを拡大。複数の企業や個人に向けて、SNSマーケティングのサポートを行うなど、活動の幅を広げていった。
自分のトリセツ
迅斗さんは29歳の時に出会い、同棲していた彼女と、2023年夏に31歳で結婚。現在は夫婦で猫を飼って暮らしている。
高校2年で突然勉強を始めたり、転職活動で約250社を受けたり、フリーランスになった後にウーバーイーツ配達員と掛け持ちするなど、迅斗さんは、一度スイッチが入ると何事も頑張りすぎてしまう傾向があるようだ。
そうなってしまったのは、やはりプライドが高く、迅斗さんや妹をすぐに周りの子と比べた母親の影響があるのだろうか。
「はい、幼少期に頑張らないと認められなかったのが原因だと思っています。成績が良くないと評価されず『バカめが』などと言って貶められました。周りの子と比較され、『それに比べてアンタは』と蔑まれるのが辛かったため、常に頑張らないといけない状態でした」
頑張れば頑張っただけ高い能力を発揮し、結果を残すことができるのは、誰もが真似できるようなことではない。だがその反動も大きく、「うつ病」や「燃え尽き症候群」に陥ってしまった。
しかし、図書館でのうつ病に関する本との出会いと、相性の良い心療内科医に巡り会い、徐々に頑張りすぎないよう制御できるようになった。
迅斗さんが現在心がけているのは、次の3つだ。