――誌面で紹介されている「春野菜の具沢山豚汁」のおともも、白いごはんとお漬物で。

笠原 充分です、それで。おかずがたくさんあるよりも、たいしておかずがなくても、ごはんをいっぱい炊いてあるほうが好き。それに、具沢山の味噌汁は、それだけで立派なおかずになります。

 

――こんにゃくの食感もよくて、セリの香りが爽やかで、分量通りにつくったらけっこうたっぷりできあがりました。

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笠原 だし600mlで、だいたい2~3人分。こういう汁物は、そんなちょっとつくるもんじゃないと俺は思ってる。50代でいきなりの単身赴任なんだから、1回分つくって終わらせる必要はなくて、たっぷりつくっておけばいい。

翌朝に温めなおして飲んでも?

――翌朝に温め直して飲んでも?

笠原 全然大丈夫ですよ。豚汁なんて、夜中に目が覚めて、ぬるいのをお玉から飲んだりしなかった? 

――え、それはお腹が減って?

笠原 酒飲んだ夜なんか、汁もんが飲みたいなって。台所でこっそりと。

――笠原さんは鍋のままなにか食べることありますか?

笠原 ありますよ、ふつうに。

――え、いまも?

笠原 「サッポロ一番」なんか、家で一人のときに。

――単身赴任については、どう思われますか。

笠原 家族が一緒についてきてくれなかったわけでしょう。かわいそうに…。俺のまわりにも多いけど、大企業になればなるほど、突然辞令が下るっていうしね。そういう意味では、うちのほうがよっぽどやさしくて、若いスタッフに「春から名古屋店に行ってくれるか」って伝えたら、「いやです」とかね。そういわれるとこっちも、そうか、ってなるじゃん。

――生きていると食だけでは解決できないこともありますが、ときにユーモアを交えながら真面目に向き合うことで、楽しく生き延びよう、みたいな。自分のためにおいしいものをつくれば、自分も家族も楽しく食べて健康になれる── かもしれない。そうなったらいいなと。

笠原 人気連載になればいいよね。