伊集院さんの妻で女優の夏目雅子さんが亡くなったことを知ったのは「金妻」のリハーサル中――前号で篠さんはそう語っていた。「お別れの会」でメディアのカメラマンが撮影した伊集院さんとのツーショット写真がなぜか自宅にある、とも。小誌グラビアに掲載したのはその写真。夏目さんの死から6年、縁の人々が一堂に集まり、メディアも入った七回忌での2人が写っている。

 一周忌のときの写真かなと思っていたのですが、七回忌ならば結婚する前年ですね。でもまだ、この人と結婚するとは思ってもみなかった。私が39歳とか40歳あたりから不良し始めて、外でお酒を飲んでいると、よく顔を合わせたの。最初はまだ悲しみから放浪している頃だったと思います。痩せていて、あまりご飯も食べていないように見えました。

伊集院静さん

(写真の)私は、女優ですね。洋服もそうだし、ヘアメイクもしてもらって。職業柄、撮られるならきれいに写ろう、聞かれたら何を話そうかと考えていましたから、この日もそうだったと思います。

 常に女優である自分を演じているような感じがあったのですか、と尋ねた。

 そういうふうには思ってなかったです。仕事以外はそのまんまでしたから。

ADVERTISEMENT

 計算できない人なんですよ。演技も、自然体で演じるのが一番いいなって。私が演じるんだから、どっかで私は出る。だから、あるがままにやるって。あまり深く物事を考えないんです(笑)。

 スタジオを出たら即、「自分」です。それが役のイメージと違うのでしょうね、「話してみると全然違う人だね」と、学生時代からよく言われました。この前も伊集院担当だった河北新報の記者さんが、「まさかこんなに気さくな方だと思ってませんでした」って(笑)。