キッチンの片隅でほこりをかぶりがちなせいろ。著者はそんなせいろを普段使いしている、至って普通の会社員。忙しい日々の中で、なるべく簡単に健康的で美味しい食事を作りたい。そんな思いで、せいろを活用した料理をインスタグラムに投稿し続けたところ、わずか半年ほどで人気アカウントに。その知見を活かした本書もヒット中だ。
レシピは野菜、肉、魚だけでなく、冷凍のご飯やうどん、レトルト食品も蒸すなど自由自在。作るジャンルも肉じゃがのような和食やハンバーグなどの洋食から、韓国料理に中華、プリンなどのスイーツまで、なんでもあり。
「近年のレシピ本は、やる気ゼロでも作れる『ずぼら飯』的なものか、反対の『丁寧な暮らし』路線に二極化している印象があります。本書は両方のいいとこどりで、気取らないけれど満足度が高いところが魅力です。せいろがハードルの高い調理器具ではないことをしっかり示すために、本の序盤に1週間のレシピの実例を載せました。ファッション誌の着回し例のイメージで、実際にせいろを普段使いする様子を具体的に感じてほしかったんです」(担当編集者の田村貴子さん)
刊行直後は40代~50代を中心に読まれていたが、安くて手頃なせいろが無印良品や3COINSなどで手に入るようになってから、若年層にもリーチした。
