効率を愛する時代のなかで、アナログな過去に共鳴する者たちがいる。タイパもコスパもかなぐり捨てて、車との対話にこだわるオーナーたちの素顔とは?
今回は「Nostalgic 2days 2025」の出展者から、AE86のカローラレビンに乗るヒロトさんをご紹介。
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「幼少期の憧れ」へと原点回帰
物心つく頃から、ずっと86に憧れていたんですよ。3歳くらいの頃から家に『頭文字D』の単行本が散らばっていて、それが絵本代わりといいますか。アニメもセカンドステージが放送されている頃で、もうイニDで育ってきたようなものですね。
免許を取る前から中古車情報を漁るようになり、17歳の頃にワンオーナーで屋内保管のトレノを160万円で見つけたんですよね。でも、バイトの貯金とバイクを売ったお金を足しても足りず、泣きながら母親に土下座して「お金を貸してください!」と……。
それでも融資はおりなくて、トレノはそのまま売れてしまったんです。その後も色々探した結果、免許を取って最初に買ったのはなぜかシルビアのヴァリエッタでした。ターボに換装した車両で、レアな仕様に惹かれたんですよね。
それからはやたらと変な仕様の車を探すようになって、左ハンドルのジュークとかキューブとか。パオやシエナ、ジムニーなんかにも乗りましたね。とにかく色んなジャンルに手を出して、かれこれ13台ほど乗り継いで。
でも結局、少し前に86ミーティングに行ったとき、「自分にはやっぱ86しかないわ」と確信したんですよ。すぐに探しはじめて、別の車両を目当てに行った中古車屋さんで、たまたま出会ったのがこのレビンでした。
記録簿もすべて揃っていて、しかも新車から令和3年まで屋内保管されていたらしく……。もう即決でしたね。最初はゴリゴリに弄る予定だったんですけど、大事に乗っていた前オーナーさんの想いを引き継ごうと、純正状態で維持していこうと決めたんですよ。
ただ86を大事に乗っていく代わりに、弄る用の車として去年の10月頃に180SXを買って……。今はそっちを思い切りドリ車に仕上げているんです。
やっぱりそうなると、稼ぎはほとんど家賃と車に消えちゃうんですけどね。今はフリーランスでウェブマーケティングと動画クリエイターの仕事をしていますが、毎月ヒイヒイ言いながら、質素なご飯ばっかり食べています。
それでも86は特別な存在ですから、どれだけキツくても維持していきたいですね。

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