ただ、築22年の戸建はボロボロになって住めなくなっているでしょうか。そんなことはないというのは皆さんも体感で分かるかと思います。特に、1981年(昭和56年)6月施行の新耐震基準を踏まえて建てられた、同年9月~10月以降に完成した住宅であれば、震度6~7の地震でも倒壊しないよう、軀体がかなりしっかりしています。築20年どころか、築30年、築40年であっても、まだまだ住める戸建は多くあります。

 しかし一般的な評価方法では、中古戸建は築20年も経つと、建物の価値はほぼゼロとみなされ土地代だけになります。マンションの場合は築20年でも建物の価値はまだ半分以上残っているし、最近は、新築マンションの代わりに人気になっていて、なかなか値段が下がらなかったりします。その結果、予算を決めて家探しをした場合、中古戸建の方が中古マンションよりスペックが高いという可能性がありうるわけです。

中古マンション購入時の注意

 とはいえ、中古マンションを否定する気はありません。中古戸建と同様、新築マンションに比べれば安く購入できる可能性は高いです。ただ、修繕積立金が十分でないケースがあることに注意しましょう。社会問題になっているので、ご存じの人も多いと思います。

ADVERTISEMENT

 マンションは数十年単位で大規模修繕というメンテナンス工事をする必要があります。この修繕の費用は、マンションの住民から毎月一定額を集める修繕積立金で賄われるのですが、何らかの理由から、十分にお金が集まっていないことがあります。

 大規模修繕をしないと、マンションが急激に劣化し資産価値がなくなるばかりか、住めなくなることもありえます。そのため、修繕積立金を改めて積み増さないといけないのですが、なかなか一筋縄ではいきません。何しろ、マンションには老若男女、お金がある人、お金がない人、日本人、外国人と色々な人が住んでいます。住人の集会で決議を取らないといけないのですが、何が起きるかは容易に想像がつくのではないでしょうか。

 PTAの役員になるのと同じくらい、マンション管理組合の理事になるのが嫌がられるのは、住人同士の調整が非常に面倒臭いという背景があります。

 安く中古マンションを購入できてラッキーと思ったら、後になって修繕積立金の積み増しが求められる、なんていうこともありうるわけです。

 なお中古戸建でも、屋根の葺き替えや壁の塗装などのメンテナンスがしっかり行われていないために、雨漏りが発生したなんてこともありえます。怖い話をすれば、シロアリが床材だけでなく基礎部分も食べていると、耐震性能に影響が出ます。

 このように、中古物件の購入時には自分でじっくり調べるか、第三者のアドバイスを受けるなどして「思っていたのと違う!」事態を避けるようにしましょう。

次の記事に続く 「もういつ死んでも大丈夫」フルタイムで働く40代子持ち既婚者が…生命保険の解約を決断した“納得の理由”