男性から消費されるのではなく…

 女性モード誌を中心に多くのメディアで活躍するファッション・ジャーナリストの栗山愛以さんは、今回のパリファッションウィークを現地で取材した。『ルイビルト』について、「デザイナーのルイ・チョウは中国出身の女性で、清華大学(2025年世界大学ランキングでアジア地域1位)を卒業後、パーソンズ美術大学でファッションを学び、2019年にニューヨークでブランドを起業しました。2021年には世界中のファッションブランドが参加するLVMHの新人アワードで、特別賞を受賞した新進気鋭の存在。男性目線を意識するのではなく、女性側から身体のラインを積極的にアピールするという志向を持っています」と話す。

©RUIbuilt 撮影=Theo Liu(テオ・リュウ)

 パリファッションウィークにおいて、ルイ・ヴィトンやエルメス、シャネルなどの「ラグジュアリーブランド」はランウェイ方式のショーを行う。一方で新しく参加を認められたブランドは、プレゼンテーション方式が多い。どちらも一般には入場ができず、世界中から招待されたファッション関係者のみが観ることができる。今回の『ルイビルト』は、一つの部屋にベッドが置かれ、そこで小湊が一人で2時間を演じ切るプレゼンテーションを行った。

 

「近年は多様性が注目されるようになり、以前に比べてモデルとしての訓練を受けた人以外でも、ショーに出演することが多くなりました。それでも公式プログラムに選ばれるのは簡単なことではありません。小湊さんについては事前の知識がなかったのですが、多くの人たちに見られ、カメラを回される中でも、堂々としたパフォーマンスでした。度胸が据わっているというか、男性から消費されるのではなく、自らを表現するために、自分の意思で身体を見せているんだという強い気持ちを感じました。彼女のそうした感性が、ブランドのコンセプトとリンクしたのではないでしょうか」

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