木下 自己啓発は全然。小説が多かったですね。村上春樹さんとか、そのあたりの方いろいろです。あと、本を読みつつ、18歳くらいのときにちょっと好きな人ができたんです…。彼とは派遣先で知りあいましたが、私は実家のある福岡に住んでいて、彼は山口に住んでいて。はじめは仕事のある日に会うだけでしたが、途中から、会う頻度もだんだん多くなって、私の気持ちもグッとのめり込んでいって。クリエイティブな仕事がしたいといった夢は諦めたつもりはなかったんですけど、それ以上に私も大好きな人と結婚してもいいかなと思って、彼と広島で同棲を始めました。
当時4コマ漫画を描いていたので、家庭に入っても描けると思っていたのもあります。
ただ、全くクリエイティブな勉強をしていないわけじゃないんですけど、気持ち的には彼中心の生活だったかもしれないですね。
“お祭り気分”のつもりで大食い王決定戦地区予選に出場
――その後、24歳のときに『元祖!大食い王決定戦 全国縦断新女王発掘戦~福島・広島・岐阜・熊本編』(テレビ東京)の広島予選に出場。自ら番組に応募されたのでしょうか?
木下 そうです。たぶん、人よりたくさん食べられそうな気がしたし、しかも美味しいものがお腹いっぱい食べられるなんて楽しそう!くらいな気持ちです。とくに「勝つぞ!」って意気込んでいるわけでもなく、お祭りに参加するような感じだったんです。
予選では優勝して広島代表に選ばれて、決勝大会に出場するとまさかの準優勝でした。彼氏も応援してくれたし、「すごいね!」って一緒に喜んでくれました。嬉しかったですね。ただ、私が準優勝したことで、当初描いていた「東京に出てクリエイティブな仕事がしたい」という思いが再燃してきたんですよ。彼氏のことは大好きだけど、夢も諦めたくない…。その後、準優勝がきっかけとなって、私のデビューが決まり、私は東京で暮らすことになりました。彼とはしばらくは遠距離で付き合っていましたが、だんだんすれ違いが多くなってお別れすることになったんです。
撮影=山元茂樹/文藝春秋

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