番組を継続、被害女性の声を握り潰した

 同番組の前身は、ダウンタウンの松本人志と中居による「まつもtoなかい」。だが、2023年12月、小誌が報じた「性上納」問題により、松本は活動休止に至った。実はそこに番組が延命された謎を解く鍵があった。みずから番組を企画したA氏は当時、社内で次のように語っていた。

「この番組を松本さんが復帰する受け皿にする。ここで番組を終わらせるわけにはいかない」

 番組関係者が打ち明ける。

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「A氏の後ろ盾となり、番組存続にお墨付きを与えたのは、港浩一社長(当時)でした。フジテレビは吉本興業にも忖度し、番組の継続を決定した一方、被害を訴えてきたX子さんの声を握り潰した」

前社長の港浩一氏 ©時事通信社

 日枝久取締役相談役の盟友である、フジ監査役の(おの)()()(よし)氏が言う。

「1年半も事態が放置されていたっていうのはけしからん。大問題ですよ。伏せちゃったんだから隠蔽体質じゃないか。僕も日枝も知らなかったし、今回の件で日枝も怒っていますよ」

 大物タレントや芸能プロダクションに忖度し、不祥事を隠蔽する――。こうした企業風土を醸成し、長年容認してきた人物こそ日枝氏ではないのか。

3月27日に退任が発表された日枝久氏 ©文藝春秋

「なぜ、たった1人の独裁者がこの巨大な放送グループを40年近くも支配することが許されてきたのか」

 今年2月3日、フジテレビの持株会社であるフジ・メディア・ホールディングスの株式を7%超保有する米投資ファンド、ダルトン・インベストメンツが書簡を送付。日枝氏に辞任を突きつけた。だが――。

「当の本人に辞める気はありません。清水賢治社長は3月末の調査結果の発表を受け、日枝氏に引導を渡せるのか。最大の注目が集まっている」(別のフジ社員)

 “独裁者”は、社内でいかなる振る舞いをしてきたのか。その権力の象徴として語り継がれているのが、毎年12月下旬の仕事納めの風景である。